初心忘るべからず 真意は

2020年10月30日

誰もが知っている、名言

「初心忘るべからず」
一般的には「なにごとも初めて行う時に志を立てる
その志した初心を忘れてはいけないということ。

「仕事や物事に慣れてくると、俺はできるんだ、
誰と比べてもすごいんだ、すべて知っている」など、
つい慢心してしまうものです。

 

「初心忘るべからず」この言葉は、約650年前
能を大成した世阿弥(ぜあみ)が編み出した言葉です。

世阿弥とは


能楽

1363年~1443年 父の観阿弥とともに当時の
申楽(猿楽。現代の能、歌舞伎の祖形)を大成した。

生涯を通して、どのような能が感動を呼ぶのか探求し
今日まで続く能の基礎を作った天才といえる。

世阿弥は能の台本をつくることを大切にし、中でも
人間の心理を深く描きだすことのできる「無限能」
(むげんのう)という劇形式を完成させた。

世阿弥は能の作品を作り、それを演じただけでなく
自らの体験をもとに、すぐれた能楽論を残した。

世阿弥の伝書は秘伝として世に出ることなく所蔵された
20世紀にはいり、歴史学者の吉田東吾が「世阿弥十六
部集」を出版され、その後研究が進み現在では世阿弥の
伝書として21種が認められている。


花鏡

世阿弥の名言

その世阿弥からは、多くの珠玉の言葉が発せられています。

  • 初心忘るべからず
  • 男時・女時
  • 時節感当
  • 衆人愛敬
  • 離見の見
  • 家、家にあらず。継ぐをもて家とす
  • 稽古は強かれ、常識はなかれ
  • 時に用ゆるをもて花と知るべし
  • 年々去来の花を忘るべからず
  • 秘すれば花
  • 住するところなきを、まず花と知るべし
  • よき却の住して、悪き却になる所を用心すべし

など代表的なものです。

 

今回は、「初心忘るべからず」を掘り下げてみます。
世阿弥のこの名言はもっと複雑で繊細な意味のようです。


世阿弥 三個条の口伝

世阿弥が晩年60歳を過ぎて書き記した「花鏡」
結びの中で

一、是非初心忘るべからず
一、時々の初心忘るべからず
一、老後の初心忘るべからず

と書かれています。

このように世阿弥は、

  • 若い時の初心」
  • 人生時々の初心」
  • 老後の初心」

と三つの初心を著しています。

 

一、是非初心忘るべからず

若い時の失敗したみにくさや、未熟さを思い出し
みじめさを忘れず精進する事で芸も向上する。

 

一、時々の初心忘るべからず

歳とともに、その時々に積み重ねていくものを
時々の初心」という。

その時々に合った演じ方をし、その演じたものを
忘れずに身につけておけば、年月を経てすべてに
味が出てくるもの。

 

一、老後の初心忘るべからず

老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが
老後の初心」という。

老後に「これでいい」と言う事はなく、その都度
初めて習う気持ちで芸の向上に目指しなさい。

と説いています。


能面

 

改めて自分の未熟さに気づいて、先輩や師匠に
教わり、自分を磨き上げなければ「ほんとの花
にはならない。

若いころに、周りからいい気にさせられて、
有頂天になってしまうと、そこで何もかもが
止まってしまいます

現代社会でも、歳に関係なく新しいステージに
ぶつかります。

どんな、事態でも挑戦していく心構え、姿勢が
大事ですね。

「初心忘るべからず」を肝に銘じましょう。

 

参考:NHK・View,ShareWis,世阿弥の言葉サライ文化デジタルライブラリー