精霊トンボは なぜ全滅しても毎年日本に来るのか

2020年11月16日

精霊トンボは赤とんぼではない

精霊トンボはお盆のころになると日本各地
成虫となり群れて飛ぶのが目立つようになる

そのため祖先の霊を乗せて帰ってくると言わ
れる。


精霊トンボ

地方によっては「盆とんぼ」などとも言われ
ご先祖様の使いとして獲らないように言い伝
えもある。

精霊トンボの正式名称はウスバキトンボです

薄羽黄蜻蛉と漢字で書くと分かりやすいよう
に、翅(はね)が薄く透明で身体の割りには
大きい。

ウスバキトンボは体が朱色のため「赤とんぼ
と間違われるが赤とんぼではない。

 

トンボが竿の先にとまるのは

♫ 夕焼け小焼けの赤とんぼ とま~っているよ~ 竿の先

ところで、赤とんぼなどが童謡などでも歌わ
れているように、竿の先や枝の先、時には指
の先にとまるのは何故だろう。

トンボは変温動物のため秋になると気温が下
がるので太陽の光を体に浴びて体温を上げな
くてはならい。

出来るだけ体全体に日光を当てて効率よく体
温をあげるため、日光の角度を調整しやすい
竿の先のような場所を選び止まる習性がある


赤トンボ

どこからも日光の光が当たる場所はわかるん
ですね。

生物の習性はたくましくもあり生きることに
徹しているのがよくわかります。

近年は赤とんぼには環境の変化が激しく姿を
みることが少なくなっています。

田んぼの排水がよく、冬にはカラカラに乾い
てしまい、せっかくの卵が死んでしまいます

田んぼの中の小さな害虫が、米の汁を吸うと
米に小さな斑点が残り見た目が悪くなるので
農薬をまきます。

この農薬は人間やイネには毒性が低いけど、
昆虫に対しては強い効き目がある。

当然、赤とんぼにもダメージを与えている
のではないかと推測されている。

 

頑張るウスバキトンボ

その一方でウスバキトンボの群れはよく確認
されているので頑張っているようです。

ウスバキトンボも、幼虫のヤゴは田んぼで観
察される。

しかし、ふるさとは日本の田んぼではなく
熱帯原産のトンボです。

毎年、4月から5月にかけて大群で南の国から
海を越えて日本に飛んできます

渡り鳥ではないのに、体調たったの5㎝しか
ないのに風にも雨にも負けずに飛んでくる

どう考えても限りなく危険な旅となるのに
なぜ、そんな思いをしてまで毎年旅立つのか

日本にたどり着いたウスバキトンボは、田ん
ぼで卵を産む。

1カ月もすると水田で生まれたヤゴたちは、
羽化してトンボになり、日本列島のあちら
こちらへ移動して田んぼに卵を産む。

日本列島を大移動するので、田んぼのない
都会でも見かけることができる。

都心で赤とんぼを見かけたら、それは、た
ぶんウスバキトンボでしょう。

祖先を乗せて飛んでいた「精霊トンボ


精霊トンボ

お盆が過ぎ秋になりやがて冬へと季節が
移り変わっていく。

熱帯生まれのトンボのウスバキトンボは
寒さに弱い。

気温が下がると飛ぶ力を失い、落ちて
枯草につかまりながらも、凍えて命を
終わらせてしまう

卵を残せなかったものも、卵を残した
ものも冬の寒さで死んでしまいます。

春の終わりに大陸から日本に渡ってき
た子孫も、お盆の空を群れをなして飛
び回っていたウスバキトンボも全滅
てしまいす。

 

ウスバキトンボの謎

どういうわけで、毎年、毎年日本を目
指して挑戦をしてくるのだろう。

全滅しても全滅してもあきらめない

悠久の昔から死の旅たちは繰り返され
ているのです。

自分たちの領域を広げるためなのか。

その、すべては「謎」です

近年、地球温暖化とともに冬の寒さが和らぎ
雪国の積雪も減りウスバキトンボの卵たちが
冬を越すことができる日が来るかもしれない

ウスバキトンボにとってはうれしい限りです
が、地球全体にとってはどうなんでしょうか

 

参考:生き物の死にざま(稲垣栄洋著)