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幕の内と幕下でこんなに差がある 嬉しい「十両昇進」

大相撲の名だたる大横綱でも、相撲界に入門してから一番嬉しかったのはどんな時かと質問されると、ほとんどの関取が「十両(十枚目)に昇進した時」と答えます。

十両昇進

大関になった時や横綱になった時ではないのかと思いますが、十両昇進の時なのです。

いったいどうしてだろうかと調べてみると、力士も行司も同じで階級によって厳しい上下関係があります。

行司も同じ階級制

まず行司は、採用が決まってから3年間は見習いとして先輩行司の指導を受け、見習い期間中に最下位の序の口行事に任じられ、その後、序二段行司、三段目行司、幕下行司、十枚目行司、幕の内行司、三段行司、そうして最高位の立行司へと上がっていきます。

行事と呼び出しは、実力で出世身体がきまる力士と違い、番付編成は毎年1回、九月場所の後に相撲協会の理事会で、その年の勤務状況の評価で来年の待遇が決まる。

ではなぜ、力士も行司も十両昇進がそれほど嬉しいかというと十両以上と幕下以下では待遇が天と地ほど大きな差があるからです。

力士は、十両昇進となるや「関取」と呼ばれるようになり、一人前の扱いをされるように取り計られる。

今までの幕下以下のお相撲さんは、正式には「力士養成員」と呼ばれて、力士でもなく、普段は付き人といって、関取や親方の身の回りの世話をすることが努めとなります。

ですから十両になると、逆に付き人が2、3人つく立場になり、待遇が一変してしまうのです。

そして、毎月の給料ももらえるようになります。
幕下以下は給料はありません。相撲部屋で暮らしている限りは、わずかな手当てもあり生活はできる仕組みになっています。

十両というのは不思議な存在で、幕の内でも幕下でもないのです。
まだ相撲が野外で興行してた頃、力士が休息をとるための場所を幕で囲っていました。

その幕の中へは強い力士だけが入って休めたので、その入れた力士のことを幕内と呼び、入れない力士を幕下と呼ぶようになった

十両という表現は通称で正式名称は「十枚目」です。
しかし、東西それぞれに十四枚目まであり、正式名称は使いづらくなり、わかりやすい言葉で使われるようになったようです。

まだある関取の特権

関取になって初めて許されることは結構あり、「~~~関」と呼ばれるのも関取から、取組の際に水をつけてもらえるのも関取から、土俵に塩をまくのも原則として十両からになります。

そして何と言っても、髪形が「大銀杏」の結髪ができ、絹の締込(しめこみ)、土俵入りの化粧廻し、羽織袴など外見も様変わりです。

大銀杏は頭の上の髷(まげ)の先をいちょうの葉に似た形にする髪形で、床山さんが大銀杏の髪形の技術を10年以上もかけて習得し、一人を結うのに20〜30分かかります

大銀杏

 

ですから、大銀杏は本場所や公的な場所に出るときだけの髪形で、日常はただの「ちょんまげ」で生活しています。

絹の締込みは、繻子(しゅす)といって、艶を持った絹織物で作った回しのこと。それまでは、木綿の廻しでした。

稽古場での稽古廻しの色も変わります。稽古場では関取だけが白い廻しをつけるのが慣例で、幕下以下は黒い廻しをつけます。

このように随分と十両に昇進するだけで変わりますね。

付き人

ちなみに、付人は関取のためにありとあらゆる雑用をこなします。
食事の給仕から、洗濯、外出する時の支度、お茶やおしぼりを出すことなどで、横綱は風呂で体を洗ってもらうそうです。

ただし、付人に一切の雑用を任せる代わりに、関取や先輩の行司には相撲界のしきたりや礼儀、相撲そのものを教える義務があります。

付人の将来に責任を持つということになります。

長く辛い下積み生活から報われる一瞬、十両に昇進ということは、どんなに嬉しいことでしょう。

稽古して泥まみれになり、実力で勝ち上がるしかない世界で皆頑張っているのです。

 

参考:力士の世界(33代 木村庄之助著)

 

 

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