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食う寝る座る「永平寺」修行記-出家決心編

あなたにも何度も読み返す本をお持ちだと思います。

僕にもそんな本があり、そのうちの1冊が、新潮文庫から出ている「食う寝る座る 永平寺修行記」という野々村馨(ののむらかおる)という人が書いた書籍です。

何の変哲もないサラリーマンが30歳でこの世と別れ、出家を決心した。

大学時代からの付き合いのある、いわば恋人とも別れていったい何がそうしたのか、本には社会生活に疲れ、とりまく何もかもが煩わしく、うとましくなり、そんな社会から逃げ出すためとだけ書いてある。

この本読んで一度は永平寺に行きたい行きたいと思っていました。
それが実現したのは、この本を4,5回読んでからのことで、思っていた通りの山門や法堂(はっとう)などの七伽藍(伽藍・がらん:寺院の建物のこと)などとても印象的でした。
また、なんといっても斜面に作られた寺院で、そのため階段が多く、坂ありで結構疲れたことも思いだします。

永平寺・山門

永平寺の山門

樹齢七百年と言われる巨木の「五大杉」のもとに山門があり、永平寺最古の建物で三解脱門(さんげだつもん)とも呼ばれ仏の世界に入る関門です。

その正面両柱には、平成20年の修復された見事な聯(れん)があります。

家庭厳峻、陸老の真門より入るを容さず
(かていげんしゅん、りくろうのしんもんよりいるをゆるさず)
鎖鑰放閑、遮 莫善財の一歩を進め来るに
(さやくほうかん、さもあらば あれぜんざいのいっぽをすすめきたるに)

引用:永平寺冊子

このの意味は、ここは出家修行の道場であり家風はすこぶる厳格である。
求道心の在る者のみ、この門をくぐるがよい、と入門の第一関を提起しています。

 

出家の決心と未練

出家を決心することには、簡単な心の整理で終わった、

しかし、決心後の海岸に押し寄せる怒涛ののように「今なら引き返せる。引き返すなら今しかないぞ」という、心の奥のズルズルと断ち切れない、現世への未練が周期的に押し寄せていた。

そして、あの五大杉を見上げたとき、最後の大波が押し寄せた。
これが、引き返す最後のチャンスだった。急に体中がざわめき、汗ばみ、そびえ立つ五大杉の威容に思わず押し戻されそうになる。

だが、結局歩き始め、このまま永平寺の山門に流れこむのが自然だと信じた

雨の中を歩き続け、足どりは重く、数えきれない不安と、どうでもよくなっていた希望とで身も心もガタガタと音を立てて震えていた。
そんな冷たい雨に押しつぶれそうになりながら、とある茶店の前を通りかかると、一人の老婆がかたわらに駆け寄り「雲水さん頑張って」と叫んだ。


その瞬間、寒さと緊張で冷たくこわばっていた頬に、突然熱い涙が流れ落ちた
わからないけど、涙は後から後から止めどなくあふれ、まるで、ここまで引きずってきた失望や落胆、そして後悔や未練といった思いが、堰を切ったように涙とともに流れ出るような気がした

涙をようやくぬぐい、ついに永平寺に上山する雲水の到着所の地蔵院の下に立っていた。
地蔵院を見上げたときには、もう何の悩みも消え去っていて、あとは、この坂を上るだけで、この坂を登り切れば ”僕の人生の何かが終わる” と今までの人生のいろいろな光景が浮かび上がった。

永平寺地蔵院

それほどまでに思う心とは何だろうと、ほとんどは寺の長男として生まれ寺を継ぐために修行をすることで上山する若い人たちが多い中、決して若くない上山、しかも仏の作法など知る由もない現状、そしてなんといっても、非常に厳しい修行で有名な永平寺を選び自らの研鑽をするとは

僕がこの本を読み返し、仏教のことに興味を覚えセミナーなどに参加し、良き仏教の伝道者にも出会いがあり、欠かせない書籍となりました。

この本の中には一切の仏教のなにがしはありません。あくまで、本人が修行をした過程を書いています。

今回は、出家の決心をしてから山門にたどり着くまでの、心の葛藤や計り知れない心の不安を想像しながら、本を読み返し抜粋しました。

参考:食う寝る座る 永平寺修行記(野々村馨著)、永平寺

 

 

 

 

 

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