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多種多様の神仏、聖霊がおわす「峠」

日本には峠と呼ばれる場所がいくつもある。計測方法でかなりの数の違いがあるが3、773ヶ所ともいわれている。

峠の数が全国一

ただ、長野県は、峠の数が全国一で、173ヶ所と言われてます。(2010.10.28時点)
長野県は、四方を北アルプス、中央アルプス、南アルプス等の山々に囲まれた山岳県であり、峠は他県をまたぐものや他自治体にまたがるものなど多数存在しています。

長野の隣接都道府県は、新潟、群馬、埼玉、山梨、静岡、愛知、岐阜、富山と、8県もあります。その県境は、ほとんどが山岳地帯ですから峠が多いのもうなずけます。

長野県・大望峠

峠とは

峠は、山道を登りつめてそこから下りになる場所で、山脈越えの道が通る最も標高が高い地点のことをいいます。山へんに上・下と書いて ”峠” なのでわかりやすい。

昔から峠は、カミを拝するところでした。
峠は国境でもあり、その先は異郷の地であったため、これから先の無事を祈り、帰り着いた時の無事を感謝する場所でもあったことから、(神を祀る小さな殿舎)を設けている所が多い。日本のアニミズム(自然信仰)の多様性がにじみでている。

峠の語源

広辞苑で調べると「タムケ(手向)の転」とあり、さらに「通行者が道祖神に手向けをするからいう」とある。

しかし、道祖神は中部地方と東北地方に分布するが、西日本各地には、なじみが薄い。
道祖神はどちらかといえば道境や辻に祀られていて、山の坂路を登りつめたところには、ほとんどいない。
山の坂路を登りつめたら、その先を下るところでもある。そこは、山頂部でもないし山麓部でもない。山腹部と山頂部の境のあたりが多い。

山頂部は、カミがおわします聖域なので、猟師も、木こりも、旅人も足を踏み入れない。

峠から山頂を望むだけだった。

そうして、誰もが休憩をとる前に、花か青葉のついている枝や木を手折って手向けたのですその手向けた相手は、「山の神」だったのです。


山頂部には、さまざまなカミとさまざまな精霊が集まり、その全体を山の神といい、その山の神の領域近くを過ごす時、山の神に誰もが敬意を表したのです。

峠を乢とも書きます。また、峠と書いて「たお」「たわ」とも読みます。

1980年前後に「日本百名峠」という貴重な記録集がある。
それには、峠の神々が収録されている。峠には山の神々だけではなく多種多様な神仏・精霊が祀られている。例えば

  • 五輪峠(岩手県):地輪・水輪・火輪・風輪・空輪の五輪塔が立つ。
  • 金精峠(栃木県):小社に金精権現(男女の性器が御神体)を祀る。
  • 境ノ明神峠(茨城県・栃木県):小高い丘の竹やぶの中に界の明神(玉津島の神)を祀る。
  • 伊勢神峠(愛知県)「大乗妙典」と刻まれた石碑と馬頭観音(めずかんのん)。観世音菩薩が立つ。
  • 仲哀峠(ちゅうあいとうげ)(福岡県):路傍に猿田彦大神の石碑。近くの香春神社(かわらじんじゃ)は新羅の神を祀った神社で、一の岳、二の岳、三の岳にはそれぞれの神が鎮座する。
  • 花折峠(はなおれとうげ)(滋賀県):「花折峠」と刻まれた石碑。明王院(不動明王像を安置)が支配する聖地と俗界の境と認識されていた。行者は、この峠から比叡山を遥拝。

など、峠には多種多様の神仏が祀られています。

滋賀県・花折峠

誰が祀りはじめたのかも、いつ頃なのかもわからないのが現状で、曖昧で無碍な日本人の信仰観がが出ています。
古くから旅する人たちは、そのような路傍のそれぞれの霊に手を合わせ、道中の無事を祈念してのです。

参考:社をもたない神々(神崎宣武著)、Wikipedia

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