ランダムを予測する3つの方法
「パターン・ファインダー」とは
私たちの進化は「パターン・ファインダー」となるべく姿を昔から追い続け
てきた。
空が厚く低い雲でおおわれ黒く暗くなり急な変化に気づき、それを危険が起こりやすい嵐の前兆ではないかと思う
子どもが元気がなく赤い顔をしていると熱があるのではないかと額に手を当てて様子を見る。
私たちは、自分が周囲を観察して得た情報を一定の型に入れようとする。
そうすることで、その情報に意味を与え、その情報を利用して世界を理解し未来の出来ごとを予測しようとします
脳が嫌うランダム
なので、私たちの脳は「ランダム」を嫌うのです。
ランダムが理解しにくいのは、何事にもまず、物事にパターンを見出そうとする私たちの本能にまったく合わないからです。
「ランダム」とは
ランダムとは、「見つけようにも見つけるパターンがない状態」だとニューヨーク大学のチャールズ・サイフェ教授が説いています。
ランダムだということで、それは私たちには正確に予測するのが不可能ということですが、その考え方自体、受け入れることが難かしいですね。
しかし、ランダムを理解しなければ「完全に予測可能な宇宙」に閉じ込められ抜け出せなくなります。
チャールズ・サイフェ教授は下記の3つのランダムの法則を理解して、未来は予測できるものという素朴な宇宙観から逃れられるといってます。
それにより、宇宙を自分が見たい見たいように見るのではなく、ありのままに見る事ができるようになるだろうと説いてます。
- ランダムの第1法則:
この世界はランダムなものがある。
私たちは「宿命」とか「因縁」といった言葉を口にして、普段からランダムな物を直視しないようにしている。
私たちは運気というものを.信じることが多く、幸運も不運も単独で訪れるのではなく、良い時には良いことが、悪い時には悪いことが続くものだと思いがちです。
運が星の位置によって、また月の満ち欠けや天空での惑星の運行、暦や十二支、方位などによって影響を受けると信じる人もいる。
これは意外と多いと思いますね。
星座占いやおみくじなど結構信じている人が多い。
がんなど悪い病気になると、誰かのせいではないかと「犯人探し」をしてしまうほどです。
ですが、私たちの身に起きる出来事のほとんどは完全に予測できないし原因さえも完全に説明はできません。
災害はランダムに起きるし、善人にも悪人にも同じように降りかかります。
星まわりの悪い人と良い人が同時に同じ災害にあうことだってあります。
未来をよく予測できると自信を持っている人がいますが、油断をしていると予測を裏切られて驚くことになりかねません。
また、問題なのは本当はランダムな出
来事なのに、そう理解できない例も多
いことです。
優れた科学者ですら本当の原因があって起きた出来事と、偶然の出来事との区別は非常に難しい場合があるということです。
そのために、偽の薬が奇跡の治療薬に見えたり、反対に無害の化合物が毒薬に見えたりします。
- ランダムの第2法則:
絶対に予測のできない出来事がある。
ラスベガスのカジノに行きギャンブルをしている人たちを眺めると「今日、自分はついている」と思っている人は少なからずいるでしょう。
立て続けに大当たりをして、このまま勝ちつづけることと思い込んでギャンブルを続ける。
反対に、同じ場に負け続けている人のいることでしょう。不思議なことに、負け続けている人もギャンブルをやめずに続けています。
「こんなに負けが続いているのだからそろそろ大当たりして勝つ頃だ」と思って、もうすぐだもうすぐだと大当たりを期待しているのでテーブルから離れられなくなっている。
しかし、実際には勝ちつづける状態にするような力はこの宇宙に存在しない
宇宙はあなたが勝とうが負けようが、まったく気にも留めない。
ルーレットの回転は1回、1回が独立をしていて互いに何も関係はない。
どんなに目を凝らしてルーレットを見ても、ついているような人を観察しても次はどこに賭ければ勝てるのか全く分からない。
そのことを知る手がかりも分からないのが本音ですね。
ランダムな出来事に対して、人間は何も手を打てません。
論理、理性、科学、何をもってしても宇宙のランダムを完全に予測するのは不可能です。
- ランダムの第3法則:
ランダムな出来事は単独では予測不能だが、多数をまとめると予測が可能になる。
ランダムな出来事はどんな高度な理論で追求しても予測することはできない
しかし、ランダムな出来事にはいくつかの独自なルールがある。
そのルールがあるおかげで、ある程度理解可能予測可能なものになっている
このルールによるとランダムな出来事は個別には全く予測できないが、個々に独立したランダムな出来事をまとめると、かなりの程度、予測可能になる
ランダムな出来事であっても、それを不変の物理法則で正確に表現できるということです。
たとえば
箱の中に、ある気体の原子が充満していて、個々の原子の動きはランダムだけど、全ての原子をまとめた場合の動きは簡単ないくつかの数式で表せる事ができる。
ランダムな動きの一定とでもいうのかそうすることでこの法則があてはまるのです。
逆説的に言うならば、個々に対しては予測不能なランダムな出来事が、もっとも確実で信頼できる法則の基礎になっている。
わかったようなわからないような、ランダムの法則です。
参考:天才科学者はこう考える(ジョン・ブロックマン編)