生物多様性や国土の4割を占める「里山」とは
一歩外に出ると街並みがあり、商店街は歩いていける範囲に存在し、コンビニが何件もオープンしている。
欲しいものは、ほとんどその場で手に入る。
こんな便利な世の中に、私たちは住んでいる。それでも、何かと文句を言い、さらに便利さを求めている自分がいます。
そんな中、最近よく耳にするのが「里山」で、その存在感は日本ではなくてはならないものだったのです。
この里山を環境省では、里地里山と表現し下記のように表現しています
里地里山は、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観形成、水源かん養や国土保全、身近な自然とのふれあいの場、文化の伝承などの観点からも重要な役割を果たしています。また、さまざまな動植物の生息・生育場所となり、日本列島の自然を豊かにする役割も担ってきました。里地里山の生物多様性がもたらすさまざまな恵みは、国民共有の財産です。
引用:環境省
すなわち、都市空間と自然環境の間にあり、「集落や人里に近く、人間の影響を受けた生態系が存在する山」を指します。
よく、日本の原風景のひとつなどと呼ばれ、里山のイメージは、田んぼや小川、林、はらっぱ、小山などがあり、近くに集落が点在し、草花や鳥たちがイキイキとしている空間のように浮かびます。
環境省では、さまざまな命を育む豊かな里地里山を、次世代に残していくべき自然環境の一つであると位置づけ、「生物多様性保全上重要な里地里山(略称「重要里地里山」)」として500ヶ所を選定しています。
最近のニュースで、住宅地に熊や鹿、いのしし、サルなどの動物が山から下りてきて食料を探しに徘徊している様子が放映されていますね。
これも、少し前なら里山が整備されていて、動物たちが食べる餌の実や、草葉が整えられていて動物たちはそこで満足をして山にこもっていたといわれています。
残念なことに、今では集落に人が少なくなり、特に若い人は学校を卒業すると同時に就職は都心に集中してしまいます。いわゆる少子高齢化が進んでいるのが実態です。
里山は国土の4割を占めると言われ、長い歴史の中で人々が自然と寄り添いながら、ともに作り上げてきた自然環境です。
里山の特徴と役割
里山が、作りあげられてきたものは
- 食料や木材など自然資源の供給
- 良好な景観形成
- 水源かん養や国土保全
- 土砂流出・崩壊防止
- 野生生物の生息・生育環境
- 都市微気候の緩和
- 大気浄化・緩衝緑地・避難空間
- 感性・想像力涵養・文化の継承の場
- レクリエーション・リフレッシュ・交流の場
- 環境学習の場
- 身近な自然とのふれあいの場
- 文化の伝承
など、たくさんの重要な役割を果たしています。
しかし、平成14年度の調査によれば日本で絶滅の恐れのある動植物が集中する地域のうち、およそ6割が里山に分布していることが明らかになっています。
このことは里山の保全は生物多様性の保全とイコールであるということです。
高度成長とともに生活様式が激変し、人口の流出、農地開発、少子高齢化、河川整備などなど自然改変で里山地域は問題が山積しています。
一方、自然環境に興味関心ある人たちによる移住など関心の高まりや、テレワークによる移住、里山地域の保全活動などの動きが見られます。
里に住む人々は、「どの家も、山に支えられながら、家の周りで米や野菜をつくる生活してきた」と高齢者ばかりになっても、集落が、一つの家族のようだといいます。
昔からの日本の風景・生活を大切にしていきたいですね。