世界を取り巻く慢性的・潜在的水不足
2019年12月4日現地アフガンで医師の中村哲が凶弾に倒れ死去した。
1984年にパキスタンのペシャワールに赴任し、ハンセン病の治療やアフガン難民の治療に従事した。
平和医療団・日本の総院長及びペシャワール会現地代表としてアフガニスタンでの復興事業を先頭に立って指示した。
この中村医師の書籍を読むといかに病気のこととの戦いもさることながら、生活における命の水のありがたさが分かります。
中村医師は、戦乱と次々と砂漠化していくアフガンの地で、電気、ガス、水道のない暮らしの中で治療のことと水路及び用水路の普及に現地の人たちと一緒に紛糾していました。
「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る」の書籍の中で、現地の人たちとともに井戸を掘り、水が出ると現地の人は「水が出た!」と言って喜ぶ姿、これで耕せる、これで生活できると叫び合う真実が理解できます。
水の問題は、世界的に大問題で注目を集めています。
少し前のブログに「大事な命の水の世界に現状」を書きました。
今回はそれの追加ブログと思ってください。
慢性的な水不足
発展途上国や乾燥地帯などでは慢性的な水不足が続いています。
飲み水も遠く離れた水源地へ汲みに行かなければなりません。
決して衛生的な水ではなく、不衛生な水をやむを得ず摂取するケースも少なくないようです。
潜在的な水不足
日本などの先進国においても潜在的な水不足の状態に陥っている場合があるのです。
一般家庭では水道のインフラ設備の充実で水不足を感じる人はほとんどいないでしょう。
主に食料品や工業製品など他国から輸入しているモノを自国でまかなおうとすると、生産するための淡水資源が足りないと推定される場合、他国に依存しているとも言えます。
こよのうな場合のことを潜在的水不足として表します。
食料生産時の水量
東京大学生産技術研究所の沖研究室によると、食料の生産に伴う農業用水の量は下記の通りです。
- 米を1㎏生産するには、3600倍の3,600リットルの水が必要
- とうもろこし1㎏生産するには、1900倍の1,900 リットルの水が必要
- 小麦を1㎏生産するには、2000倍の2,000リットルの水が必要
- 大豆を1㎏生産するには、2500倍の2,500リットルの水が必要
- 鶏肉を1㎏生産するには、4500倍の4,500リットルの水が必要
- 豚肉を1㎏生産するには、4,500倍の4,500リットルの水が必要
- 牛肉を1㎏生産するには、20,000倍以上の水が必要
の水資源が必要と算定されています。
通常、農業は、降雨を有効に利用し、不足分を農業用水による灌漑で補っています。また、農業用水の特長は、自然界の水循環と融合した形で利用されている点になります。
いかに水が大事で、雨が必要なことが分かります。日照りが続けば死活問題になり、雨ごいをすることはうなずけます。
農業用水は、水田灌漑用水、農地灌漑用水、畜産用水として使用され、さらに、消雪用水、防火用水、生態系保全(フナ、ドジョウ、メダカをはじめとして、今では希少になりつつある種も含めたさまざまな生物の生息域として)、親水空間、水の貯蓄、景観など多様性に富んでいます。
日本の農業用水は長い歴史の中で、なくてはならない役割を担ってきました。
あらためて水問題を意識して生きましょう。
最後に前述の中村哲医師の言葉
質問者:水を確保できればアフガンは再生できますね。
中村哲医師:絶対にしますね。
一般の99%の素朴なアフガンの庶民は、家族が仲よく自分の故郷で暮らせること、一緒におれること、三度のご飯に事欠かせないこと。これ以上の望みを持つ人は、ごく稀ですよ。
「百の診療所より1本の水路を」
参考:人は愛するに足り、真心は信ずるに足る(中村哲)、国土交通省、SUNTORY、Spaceship Earth