あなたは間違いのない目撃者なのか
見る・見える情報
自動車事故の動画を見せて質問をした
ところ驚くべき深刻なことがわかった
まず、その自動車が時速何キロメート
ルくらいのスピードだったかを推定し
てもらう。
同じ動画を見てもらった参加者の各グ
ループに質問をした
参加者に「自動車が衝突した時、時速
何キロメートルくらいのスピードでし
たか」と質問する。
別の参加者には「自動車が激突した時
時速何キロメートルくらいのスピード
でしたか」と質問する。
すると「激突」と聞かされた参加者は
「衝突」と聞かされた参加者に比べて
15km程度も速度を多めに見積もって
しまう。
さらに、
「自動車の窓ガラスは割れましたか」
(実際には割れてはいない)と聞くと
「衝突」グループの10%程度に対して
「激突」グループの 1/3 程度が割れた
と答えてしまう。
このことは、後から来た情報と整合的に
なるように、記憶の書き換えが生じてし
まうからです。
- 激突という情報から、時速30kmは整合的
ではない。 - 激突で車が無事も整合的ではない。
ということから、記憶を書き換えてしまう
のです。
このようなことが、自動的に行われて
しまうことが怖ろしいところなのです
参加者2000名の実験
次は、古い実験ですが有名なものです
実際のテレビ番組を使用して行われた
もので、2000名以上の参加者です。
「廊下を歩いている女性が突然現れた
男性に突き飛ばされバッグから財布を
盗まれる場面が13秒間放映されました
その中の3.5秒間は犯人の顔がしっかり
映っています。
さて、放送後に「あなたたちは目撃者」
ですと告げられ、2分後に6人の被疑者
が1から6の番号札を持って並んでいる
写真を見せられます。
ハッキリと1人ずつ映され、参加者は
自分で犯人だと思う人の番号を電話で
伝えます。
その6人の中に犯人は、いないという
選択肢もあり、その時は0の数字で答
えるようになっている。
この7択の問題はランダムに答えると
14.3%の正解率です。
さて、どのくらいの正解率が出るので
しょうか。
なんと、正解したのは14.7%でしかあ
りませんでした。
ランダムに答えた(適当に答えた)の
と変わりなかったのです。
しかも、犯人は6人の中にいたのですが
この中にいないと答えた人(0と答えた
人)が約 1/4もいました。
ほんとかなと思いますよね、目撃者とし
てこの人が犯人だと証言すれば、ほぼ、
間違いなく有罪になると考えてしまいま
すよね。
この結果は、常識を超越する信じられな
いことと思います。
次も実際に会った不思議な事件
オーストラリアで実際に起きた不思議
なレイプ事件のことです。
被害者の証言により、ある心理学者が
逮捕されました。
しかし、彼はすぐに釈放されたのです
その心理学者はその時間にテレビの生
放送に出ていたのでした。
なぜ、彼女は嘘の証言をしたのだろう
か、実は彼女はその事件の直前まで、
その心理学者が出演していた番組を見
ていたからでした。
信じられない出来事ですが、私たちは
何を見たかは覚えていますが、それを
どこで見たかは意外に覚えていないも
のです。
「どこかで見たことある人だけど、ど
こでだっけ」ということがよくありま
すね。
これは「ソースモニタリングの失敗」
と呼ばれている。
記憶ソース(源泉)がどこにあるのか
わからなくなってしまうことです。
私たちの社会では、見る見えることが
とても重要で、それを前提として成り
立っている。
信号を見てルールに従って行動する。
犯人を目撃した人がいれば目撃された
人が犯人だと思う。
自分が見たことや記憶したことは、
ハッキリと記憶していると思うけど
記憶は脆弱であり、見たこともない
ことをはっきり「記憶」したりもす
る。
しかも、直前に見た犯人の顔を取り
違えることもある。
そして、一番門題なのは、多くの人
たちは、こうした注意、記憶の欠陥
に自覚していないということです。
これらのような現象につての研究は
膨大な数ほど行なわれています。
どうしたら、改善や記憶力を向上さ
せることができるのかというと、そ
れはとても難しいようです。
誰もが見落としをチェックしたり、
自分を含めた人の記憶の裏づけが
十分かチェックすることが必要で
すね。
参考:認知バイアス(鈴木宏昭著)