かばん語は「鏡の国のアリス」から作られた
かばん語
「かばん語」という言葉があります
かばん語(かばんご、portmanteau word)または混成語(こんせいご、blend)とは複数の語のそれぞれの一部を組み合わせて作られた語
引用:Wikipedia
混合語、混交語、または合成語とも呼ばれる合成語と似てますが合成語が語の語基を完全に保って2つの語を組み合わせたものであるのに対し、かばん語は語の一部分動詞を組み合わせる点で異なる。
“smoke”(煙)+“fog”(霧)→“smog”(スモッグ)などがある。
「かばん語」は、数学者で作家のルイス・キャロルが「不思議の国アリス」の続編の「鏡の国のアリス」作中で使用している
この一群の造語を「portmanteau 」という両開きタイプの旅行カバンに関連づけして紹介したことに由来する。
キャロルがこのかばん語を、ハンプティ・ダンプティがアリスに説明する「ジャバウォックの詩」を代表とする作中の詩にユーモラスな効果を狙って使用している。
この詩の中のジャパウォックとは正体不明の魔獣で名前のない主人公に打倒されることが叙事詩のパロディによる形式で描写されている。
作品中に出てくる単語の多くはキャロルによる創作の「かばん語」です。
「ジャバウォックの詩」
夕火夕日の刻、粘滑なるトーヴ遥場にありて回儀い錐穿つ。
総て弱ぼらしきはボロゴーヴ、 かくて郷遠しラースのうずめき叫ばん。『我が息子よ、ジャバウォックに用心あれ!
喰らいつく顎、引き掴む鈎爪!
ジャブジャブ鳥にも心配るべし、そして努燻り狂えるバンダースナッチの傍に寄るべからず!』ヴォーパルの剣ぞ手に取りて尾揃しき物探すこと永きに渉れり 憩う傍らにあるはタムタムの樹、 物想いに耽りて足を休めぬ。
かくて暴なる想いに立ち止まりしその折、 両の眼を炯々と燃やしたるジャバウォック、 そよそよとタルジイの森移ろい抜けて、怒めきずりつつもそこに迫り来たらん!
一、二! 一、二! 貫きて尚も貫く ヴォーパルの剣が刻み刈り獲らん!
ジャバウォックからは命を、勇士へは首を。
彼は意気踏々たる凱旋のギャロップを踏む。『さてもジャバウォックの討ち倒されしは真なりや?
我が腕に来たれ、赤射の男子よ!
おお芳晴らしき日よ! 花柳かな! 華麗かな!』
父は喜びにクスクスと鼻を鳴らせり。夕火の刻、粘滑なるトーヴ遥場にありて回儀い錐穿つ。
総て弱ぼらしきはボロゴーヴ、 かくて郷遠しラースのうずめき叫ばん。
引用:Webilio辞典
用語解説
『ジャバウォックの詩』の中にある幾つかの英単語は、キャロル自身によって作成されたかばん語である。『鏡の国のアリス』の作中で、登場人物の一人ハンプティ・ダンプティは、詩の第一節にあるナンセンスな単語の語義を説明している。キャロルは、後述する1855年(キャロル23歳)発表した「アングロサクソン4連詩」において、それ以外のバージョンの説明も考案している。キャロルが『ジャバウォックの詩』で発案した“chortled”や“galumphing”等の幾つかの英単語は、現在の英語の中にも採用されている。英単語“jabberwocky”は、しばしば「ナンセンスな言葉」を指すのに使用され、BurbleはBubbleの異体語としてまた、「混乱する」の意で使われている。
詩の中に登場する幾つかの怪物、また Mimsy、Frumious、Uffish、Galumphing、Beamishといった語は『スナーク狩り』でも使われている。
- バンダースナッチ (Bandersnatch)
獲物を捕らえる顎を備えた俊敏な生物。
首を自在に伸ばす事が出来る(『スナーク狩り』の記述より)。
- ロゴーヴ (Borogove)
羽毛を体中から突き出した貧弱で見栄えのしない鳥で、
モップのような外見をしている。 - 夕火(あぶり)(Brillig)
午後4時。夕飯の支度に肉を火で炙り (broiling) 始める時刻。 - 怒(ど)めきずる (Burbled)
おそらくは「怒鳴る」(bleat) と「ざわめき」(murmur) と
「さえずる」(warble)の混成語。
なぜ「恐らく」かといえばキャロル自身が
「そうやって作ったか、記憶にない」から。 - 燻(いぶ)り狂(くる)う (Frumious)
息巻き (fuming) 怒り狂った (furious) 様子
(『スナーク狩り』の序文より)。 - 錐穿(きりうが)つ (Gimble)
ねじ錐 (gimlet) のように穴を穿つ。 - 回儀(まわりふるま)う (Gyre)
回転儀(gyroscope)のようにくるくると回転する
(“Gyre”「還流」は、特に海洋の表層潮流の巨大な
環状や螺旋状運動を意味する、1566年頃の実在する英単語。
「オックスフォード英語辞典」は「くるくる回る」の意として
使用が1420年までさかのぼるとしている)。 - ジャブジャブ (Jubjub)
一年中発情しているやけっぱちな鳥(『スナーク狩り』の記述より)。
名前はドードーの綴「Dodo」を参考にしたもの。 - 弱(よわ)ぼらしい (Mimsy)
弱々しく(flimsy)みすぼらしい (miserable) 様子。 - 郷遠(さととお)し (Mome)
ハンプティ・ダンプティによれば、恐らくは
「故郷を離れて遠し」(from home) を略した言葉。
ラースが道に迷っている様子を表している。
高山宏によれば「from homeのHを落として
発音すればMomeのように聞こえることから」 - うずめき叫(さけ)ぶ (Outgrabe)
Autgribeの過去形で、うめき (bellow) とさえずり (whistle) の
中間にあたり、間にくしゃみ (sneeze) のような物が混じっている行為。 - ラース (Rath)
緑色のブタの一種。 - 粘滑(ねばらか)(Slithy)
滑らか (lithe) で粘っこい (Slimy) 様子。 - トーヴ (Toves)
アナグマ(Badger)とトカゲとコルク栓抜き(corkscrew)をかけ合わせた物。
日時計の下に巣くう習性を持つ奇妙な生物。チーズを主食としている。 - 暴(ぼう)なる (Uffish)
乱暴 (gruffish) なる声と、粗暴 (roughish)なる態度と、
横暴 (huffish) なる気分である時の精神状態 - 遥場(はるば)(Wabe)
日時計の周りにある芝生。
日時計の前 (WAY BEfore) と後 (WAY BEhind) の
両側を越えて (WAY BEyond) 遥ばると続いているので、
「遥場」(Wabe) と呼ばれる。
引用:Weblio辞典
と、わかったような、わからないような、わからない言葉ですね。
日本語にもあるのか調べると
- にらみる←「睨む」+「見る」
- なまらはんじゃく←「生半尺」+「中ら半尺」
- やぶく←「破る」+「さく」
- とらまえる←「捉える」+「捕まえる」
- いやこしい←「いやらしい」+「ややこしい」
- うらがえしま←「裏返し」+「さかしま」
- さるじっこう←「サルスベリ」+「百日紅」
- キネオラマ←「キネマ」+「パノラマ」
- テレソン←「テレヴィジョン」+「マラソン」
- ぼくにんげん←「朴念仁」+「人間」
- ようやっと←「ようやく」+「やっと」
- レタックス←「レター」+「ファックス」
などがありました。
ルイス・キャロルが「鏡の国のアリス」で、ハンプティ・ダンプティのせりふとして「slithyという言葉は、滑らか(lithe)で粘っこい(slimy)ことだ。
2つの意味が1つの言葉に詰め込まれたこの言葉は『旅行かばん(portmanteau)』のようだろう」と言ったのが始まりといわれている
かばん語は、おどけた印象を与えるために意図して作られることが多い。
他方で、今までは語がなかった事物を表現するために新語として作られることも多く、現代に定着しているものも少なくない。
また、新しく地名を作り出す際も含まれる領域の旧称を用いて、混淆の要領で作られることもあり、これは合成地名と呼ばれている。
いろいろな言葉があるものですね。利用してください。
参考:Weblio、Wikipedia、よなよな書房、ピクシブ百科事典