74%人に伝わらない 透明性の錯覚
透明性の錯覚
脳の思い込みで人間関係などに誤解が生まれ、円滑にいかないのはバイアスが働いているからです。
バイアスとは辞書によると偏見、固執先入観、決めつけ、偏った好みなどと訳されています.
最近は「認知バイアス」ということばや「バイアスがかかっている」などの言い方をよく聞きます。
認知バイアスの「認知」は認知症とはちがいます。
ここでいう認知は「心の働き」全般を指します。
ものを見たり聞いたり何かを感じたり何かを学んだり、覚えることも認知です。
また見たこと聞いたこと、知っていることを通して何かを考えたり、創造・想像することも認知です。
それらを人に伝えるために言葉で伝えるコミュニケーションも認知なのです
そのうちのひとつに「透明性の錯覚」があります。
透明性の錯覚とは
自分の感情や思考が、実際以上に相手に見透かされていると思い込んでしまう傾向のことまた、自分のことは相手にちゃんと伝わっているだろう、という思い込みのこと。
です。
例えば
人にうそをついたりした時に、本当はばれているのではないかと思い込んでしまう。
また、人前でのスピーチに「緊張したこと」がバレバレなのかと思っていても「緊張していないように見えた」といわれた経験がある。
人間は口に出さなくても相手に伝わっていると思いこむ。
また「相手が理解している」「相手に伝わっている」と思い込むことも含んでいます。
相手に対して何度も説明したつもりでも「なんで、自分の気持ちをわかってくれないのだろう」と思ったことはありませんか。
そのくらい自分の感情は相手に伝わらないことが多いのです。
彼女(彼氏)が相手のことをわかってくれないのは、なぜだろうと思う時があるのは、これが原因で理解されにくいのです。
実験・研究の成果は
「透明性の錯覚」は、心理学者のトーマス・ギロビッチが提唱しました。
トーマス・ギロビッチは「透明性の錯覚」を検証する実験を行いました。
実験は参加者に複数の人の前でウソをつくように指示し、何人にそのウソがばれているかをた尋ねる内容です。
それの結果は、実際にウソを見破った人数よりも過大評価する傾向があることを明らかにしました。
また、マニトバ大学の研究では、参加者同士がペアになり、交渉をします。
その時、交渉中の相手の目的を見抜けるかというものです。
交渉前に下記の一つの目的を選択して交渉します。
- 何があっても自分の考えを通す
- 最終的な結論に相手が満足する
- お互いの妥協の回数を同じにする
- ベストな解決策を見つけること
- 相手に好かれること
交渉が終わり相手の目的を尋ねます
結果は、正しく予想できたのはなんと26%。たったの1/4だけでした。
そして、「自分の意図は相手にどれだけ伝わったと思うか?」の問いには、60%の人が自分の考えが伝わったと答えました。
びっくり。この研究で分かったことは半分以上の人が、自分の考えは相手に伝わっていると思っていますが74%の人には誤解されているということです。
これが透明性の錯覚です。
なぜ起きるのか
なぜこのような錯覚起きるのか
- 自分の気持ちで解釈をして判断をする
- 気持(感情)の表現が豊かでない
自分が楽しければ相手が怒っていても相手も楽しいと判断をしてしまいがちです。
特に感情表現が乏しいと、イライラしていても、楽しい時の表情はあまり、変わらないことがわかっています。
そんなに、人間は表情が変わらないなんて、びっくりですね。
その対策は
日常的に起こることですから対策も、しっかりやりましょう。
ひとことです「感情表現をはっきり」することです。
「俺の気持ちはわかるだろう」と自分の気持ちを押し付けるのは勘違いです
- 怒っているなら「怒りを」
- うれしいなら「うれしさを」
- 楽しいのなら「楽しさを」
- いらいらしてたら「イライラを」
- 頼みごとがあれば「はっきりと」
と伝えることが「透明性の錯覚」を軽くすることができるはずです。
相手は自分をよくわかっていないという前提で理解し自分の口からはっきりと伝えるべきことは伝えましょう。