昆虫の殻の秘密
昆虫の殻は半端じゃない
わたしたちがよく見かける動物といえば昆虫です。
現在までに約100万種ほどの動物が知られているその70%が昆虫です。
種類の多さから判断して、地球を支配しているのは昆虫の仲間です。
いったいこの繁栄ぶりはどうしてこうなったのでしょう
昆虫のように小さければ、たくさんの変異を短時間で生み出す事ができます。
環境の変化に左右されやすい点があり、特に昆虫のように陸上の生き物では乾燥に対して、いかに耐えられるかが大きな問題です。
昆虫など小さいものにとって、身体を乾燥させないことは至難の業で、身体のわりに大きな表面からどんどん水分が逃げていってしまいます。
水の中や、土の中では、いろいろな種類の小さな生き物がいます。ミミズや線虫など土の中にかなりの湿気があるのでうじょうじょしています。
陸上で自由に飛んだり走ったりしている動物は、そう多くはないのです。鳥、ほ乳類。爬虫類、昆虫ぐらいです。
乾燥問題を解決
その昆虫は体の表面をすっぽり覆う事で、乾燥の問題を解決した。
この殻は、クチクラ(Cuticula)と呼ばれキューティクル角皮とも言い、丈夫な膜で、表面にはワックスがかかっていて、水が通らないようになっています。
クチクラはキチンと呼ばれる多糖類でできていて、硬くて丈夫でそのうえ軽い。
この丈夫で水を通さないからで身を包むことにより、昆虫は乾燥に耐えられるようになり、捕食者や外界から身を守るようになった。
そして、このクチクラで大きな運動性も獲得した。
軽くて丈夫な材料を使って軽快な長い脚や薄い羽根を作れたのです。
人間も昆虫にも足には関節があります。
もし関節がなかったら身体をつっぱったまま歩き身動きが容易ではなくなります。
昆虫のクチクラは、とても優れていて、作り方によりクチクラをかたくもしなやかにもできることです。
昆虫のクチクラの殻を体表面を外傷から守るものとして乾燥を防ぐものとしても、力を支える骨格系としても利用している。
クチクラは複数の機能を兼ね備えて、サイズの小さな昆虫にただの殻以上のの意味を持たしている。
モノコック構造
この体の外側をすっぽり覆う構造を、技術者達はモノコック構造と呼んでいます。
柱や梁を組み合わせて造った建物などに見られる骨組み構造とは、一味違った独特な構造です。
モノコック構造の特色は、大きな重さを支えるには適さないが、ずりやねじりの力には強いのです。
ほとんどの飛行機が、モノコック構造でつくられている。
飛行機では、積み荷は軽いのだから身体を支えることより乱気流などで翼や期待がねじられる方が大問題となるから。
昆虫のような小さなものが、支えるべき体重は小さいし跳ねたり飛んだりアクロバット的な運動をしても、羽が切れたり、あしが折れたりしにくいうことです。
脊柱動物ではサイズの大きなものでモノコック構造をとっているものはいない。
飛行機が昆虫のような構造でつくられているとは楽しいですね。
今度、昆虫を見たら、こんなことを思い出してみると面白いかもしれませんよ。
クチクラ=モノコック構造(ボックスティッシュもそうです)
参考:昆虫病理学、ゾウの時間ネズミの時間(本川達雄著)、Wikipedia、