1年に2回の旬がある 豪快な鰹一本釣り
1年2回の旬がある珍しい魚の「カツオ」は、スズキ目・サバ科に属し北海道以南で見られるが日本海側は少ない。
全長は約1mでお腹に7~8本の暗褐色の縦じまがあるのが特徴です。
熱帯や亜熱帯など温暖な海域に生息しており、群を作って回遊し小魚を捕食して生きる回遊魚です。
3月ごろに日本近海の黒潮にのって鹿児島県沖から北上し始め、9〜10月頃に宮城県沖にたどり着いて親潮とぶつかるため、Uターンして南下するという季節回遊をします。
「初がつお」「戻りがつお」
4月5月頃の春のカツオを「のぼりがつお」「初ガツオ」と呼ばれ、有名な「目に青葉山ほととぎす 初鰹」と詠まれ、江戸時代になってから生食がでてからは、特に関東で大金を払ってでも初夏の初がつおのお刺身を賞味することが粋であるとされていた。
秋にUターンしてくる鰹は「戻りがつお」「下りがつお」として知られてます。
初夏の初がつおと初秋の戻りがつおでは、脂肪の含有量が異なり、猛烈な速度で泳ぎ回る若いかつおは脂肪が蓄えにくい、反対に戻りがつおは、三陸の沖合でたっぷりとエサを食べ丸々と太って南下してきます。
戻りがつおは初がつおの10倍の脂肪を含んでいると言われ、それゆえに「初がつおはたたき、戻りがつおは刺身」とよくいわれる所以です。
タンパク質も魚の中ではトップクラスの質量を持っています。
また、とくに高知県の藁の炎で表面を焼いたたたきが有名ですね。
鰹は他のサバ科の魚と同じで鮮度が落ちやすいため、新鮮な鰹以外は「鰹節」の原料となり重要な食材とされています。
「鰹一本釣り」
ところで、かつおの漁は、なんといっても高知の「鰹一本釣り」です。TVのニュースやドキュメンタリでよく取り上げられるので、ご存じの方も多いと思います。
豪快な土佐伝統の一本釣りは、漁師さんたちが船の舳先(へさき:船首)や船側に立って、1本の釣竿で鰹を次々と釣りあげます。
次々とという表現はまさに、腕利きの漁師になると2秒に1匹くらいのペースで釣り上げ、高々と跳ね上げられた鰹は、その軌跡の頂点で疑似餌から外れ宙に踊ります。何匹もの鰹が次々に宙を舞う光景は、勇壮にして豪快そのものです。
近海鰹一本釣り漁は、港で撒き餌となる活きたイワシを積み込みんで出航し、経験とハイテク機器を操り「なぶら」(カツオの群れ)を探します。
なぶらに出会うと港で仕入れた生きたイワシを撒き、同時にポンプで大量の水を撒きます。すると鰹がイワシの大群と勘違いし鰹が集まってきます。
これを、「かぶら」と言われるストレート針の疑似餌のついた釣竿で一匹一匹を釣りあげては、すぐに海に針を投げ込みます。この漁法を「跳ね釣り」と呼ばれ一本釣り独特の釣り方です。
鰹船は2月頃から出航し1回の操業は2~5日ですが、水揚げするとすぐに次の準備をし出航します。
そして、11月ごろまで途中休暇をはさみながら、約10ヵ月の船上生活になるという。
一本釣りの鰹は、一尾ずつ釣り上げるため、魚体がきれいで身の痛みが少ないのが特徴で、巻網漁法では、身体き傷がついたり、傷んで身が柔らかくなったりしてしまうようです。
それで、一本釣りのカツオは高値で取引されています。
高知の「明神丸」
高知には古くから、明神丸(カツオ船)という鰹一本釣りで5年連続日本一の漁獲高を誇る凄腕の漁師たちがいて、今も10Kgもの鰹を釣り上げています。コツをつかむまでは3年かかるという過酷な仕事ですが充実感や面白みがたまらないという。
なじみの深いかつおですね。食べる時に豪快な土佐の一本釣りを思い出して食してみてください。