バニラの香りは5感の協調で甘くなる
5感とは
動物の5感は、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚があり外界を感知するための重要な機能です。
その中でも視覚情報が全体の80%程度となっています。
自分は10年前に「中咽頭癌」になり、放射線と抗がん剤治療を5クール(実際は4クールしかできなかった)を受けた時に突然味覚がなくなったのです。
今では、元に戻っていますが、その時はいささか焦りました。
表現のしようがないほど何も感じないのです。
それから、味・味覚について調べて見ました。
私たちが「味」と呼んでいる味は舌だけで感じとっているわけではないのです。
味は全て舌で感じる狭義の味覚と、触覚そして嗅覚が共同で作りあげている。
感覚の統合
トマトケチャップをクリーミーに感じるのも蕎麦やスパゲッティなどの麺類にコシがあると感じるのも触覚のおかげです
ポテトチップスが乾燥していてパリパリしていたり、湿気でしっとりしている時に感じる味の違いも、ほとんど触覚だけから生まれている。
また「味」のほとんどの部分は口腔香気の嗅覚によって生じているといわれてる
嗅覚を失った人が「食べ物の味がわからない」というのはそのためだ。
自分の場合、嗅覚のことは意識しなかったせいなのか、その時は舌の味の事しか考えられなかった。
このように、食べたり飲んだりしているときに、味覚、触覚、嗅覚が協調して味を作り出しているとは知らなかった。
よくいう「風味」と呼ばれるものも味覚嗅覚、そして口のなかの触覚のもたらす情報が統合されて作られているという。
いったいどの部分がどの感覚によって作られたかは判別できない。
これは、たくさんある多感覚体験のひとつで、視覚や聴覚からも影響を受けているから。
知覚心理学的には、味覚は単独では存在せず、大なり小なり嗅覚や視覚や記憶などの影響を受ける。
ワインの色や食べ物を噛み砕くときに聞こえる音、レモンの酸味とライムの酸味は酸味成分が同じであるにもかかわらず嗅覚、視覚、記憶によって違いが強調される。
食事にも影響
また、視覚や聴覚だけではなく、痛覚や温度の感覚も食事の印象を大きく変える
唐辛子を食べると三叉神経(さんさしんけい)のせいで熱いと感じる。
ハッカによって実際には温度が変化していないのにもかかわらず口のなかが冷たくなったように感じることもある。
複数の感覚が統合され、もしくは合同されるのは普通の現象で自分が知らなかっただけのことで珍しいことではない。
音を聴くにしても、実は耳だけを使っているのではない。
映画館で映画を観賞しているときでも、スクリーン上の俳優の口から声が出ているように聞こえている。
実際はスクリーンの左右のスピーカーから音は出ています。
にもかかわらずスクリーンから聞こえて
いるように感じるのは、目で見て声の出どころを判断しているからです。
このことは「腹話術効果」と呼ばれている
複数の感覚が強調することで起きる驚くべきは結構あるものです。
液体を飲むときにバニラの香りがすると甘みが強く酸味が弱く感じるのもそのせいです。
バニラの香りを「甘い香り」と言っているが、甘味は味で香りではない。
純粋なバニラは食べても甘くないのです。
他にも、この効果を使って商品に利用している。
シャンプーにある種の香りをつけると髪が柔らかくなったような感じがする。
飲み物を赤くすると甘く感じ、ライトグリーンにすると酸っぱく感じる。
味覚障害原因は神経障害など原因となるものは多いが、一番は薬物性のもの。
自分の場合の放射線治療後も原因のひとつとしてありました。
味覚が通常よりも格段に鋭い人のことをスーパーテイスターと呼ばれる。
1994年にエール大学のBartoshuk教授によって発表された。
論文ではアメリカ人の約25%がスーパーテイスターであるとされている。
ほんとですかね、だとしたら日本人はどのくらいになるのだろう。
参考:天才科学者はこう考える(ジョン・ブロックマン著)、