江戸のファーストフードおでんと具
おでんのルーツ
おでんは豆腐料理の「田楽」の異称です
おでんのルーツをたどると室町時代にさかのぼり、豆腐を串に刺したものをあぶり、味噌をつけて食べる「焼き田楽」といわれる。
江戸時代には江戸で、この味噌田楽が庶民の間に親しまれ江戸名物にになっている。
寛永の頃から菜飯(なめし)に田楽を添えて提供していた「菜飯田楽」が流行しはじめ、コンニャクの田楽も登場するようになった。
もともとおでんは田楽をさす女房言葉(にょうぼうことば)で「お田楽」が「おでん」になったといわれている。
女房言葉とは
室町時代初期のころから宮中や院に仕え女房が使い始め隠語的な言葉で現代でも一部は用いられている。
例えば:
言葉の頭に「お」つけて、丁寧さを表す
- おかず(御菜)
- おから(大豆から豆乳を絞った残り)
- おじや(雑炊)
- おみおつけ(みそ汁)
語尾に「もじ」がつく
- しゃもじ(杓子)
- すもじ(寿司)
- ひもじい(空腹である)
- ゆもじ(浴衣)
その他
- 青物(野菜)
- こうこ(たくあん)
- へちま(糸瓜)
確かに今でも使ってますね、ずいぶん古くからあったのですね。
江戸のファーストフード
気の短い江戸っ子は焼いている時間を待っていられずに最初から種を煮込んでおいて、すぐに味噌を塗って提供する「煮込み田楽」スタイルを生んだ。
いわば、江戸のファーストフードの文化が生まれたのです。
そして定着し江戸や上方では「上燗おでん」という名称で、天秤棒の前後にざるなどを取り付け、振りかついで販売していた「振売」(ふりうり)が流行した。
上方(関西)では、田楽が「お座敷おでん」として客座敷に出されるようになったが、種を昆布だしの中で温めて甘味噌をつけて食べる「焼かない田楽」 と区別するために「関東炊き/関東煮」(かんとだき)と呼んだ。
「好きなおでんベスト10全国版」は
地域で使用される種の特色があり、
- 大根
- たまご
- ちくわ
- こんにゃく
- はんぺん
- 厚揚げ
- さつま揚げ
- 餅入り巾着
- ごぼう巻き
- じゃがいも
の順になっている。
全国共通の主なおでん種は
- 大根 : 厚切りにして皮を剥いたもの。
柔らかくするために下茹でをしてから使う。「おでんの王様」とよばれる。 - ゆで卵 :先に茹でて殻をむいてから用いる。
- 昆布: 水で戻し、結んで種とする。
家庭では出汁を取ったりもする。 - コンニャク : 黒・白の板状に加え、ひねったものや青海苔・ごま・ゆず・一味などの団子状の物もある。先に茹でて臭みを抜いてから使う。
- しらたき:結んで食べやすい形にする。
- ちくわ :九州などでは種類が異なる。
- 厚揚げ・生揚げ : 先に熱湯で油抜きをしてから調理する。
- がんもどき : 「がんも」とも略される。
- 巾着 – 油揚げの中に餅等を入れ、「ふくろ」とも略される。
おなじみのものばかりですね
地域、店舗、好みによるおでん種
はんぺん、すじ、ニンジン、わかめ、サトイモ、じゃがいも、ぎんなん、タケノコ、ロールキャベツ、きのこ、豆腐、かまぼこ、信田巻、厚焼き、巻貝類、タコ、ソーセージ、鶏肉、トマト、うどん、つみれ、等々
かき上げたらきりがない。
バリエーションはまだまだ増えている
2014年の時点で、住民一人当たりのおでん屋の店数が一番多いのは金沢です。
駄菓子屋の店先で食堂でおでんの大鍋を置き七輪などでぐつぐつと煮込んでいる素朴な風景も今では見れなくなりました。
かわって、コンビニのレジ横で煮込みとして売られている。
コンビニのおでんのつゆは、関東風より関西風が主流で、関西風はつゆの色が薄いので客が具材をよく見られることや薄味なので、店内におでんの匂いが広がらないからという。
最近ではおでんの種にアボガド、鯨種豚足、餃子巻き、八丁味噌の汁など、地方色豊かな種や出汁、たれなどのトッピングも提供されている。
また、丸ごとのジャガイモやソーセージで洋風に仕立てしたポトフ風にしたものも好まれている。
さあ、今夜は具材を選んでおでんを囲んで一献いかがでしょう。
鍋もっておでん屋までの月あかり
渥美 清
参考:Wikipedia、季語ものしり事典(新海均著)