くらげの不老不死は不思議
くらげの不老不死
水族館に行くと必ず”くらげ”がいる。
プカプカというかゆらゆらというか浮遊しているだけにこのようにも見えます。
よく眺めていると傘を開いたり閉じたりして水槽の上の方に泳いでいたり、下の方へ移動していたりして、それなりに活動をしているようだ。
まったく不思議で何を考えているだろうかとこちらがおかしくなりそうです。
しかし、意外なところで有名ですね。
チャップリンの映画「ライムライト」の場面に喜劇俳優のチャップリンが残した言葉です
生きることに絶望し、命を絶とうとした若きバレリーナに主人公はこう語りかけた。
「生きていくことは美しく素晴しいことだ。
たとえ、クラゲであってもね」
これがよく知られる名言の元となったセリフです。
「クラゲだって生きがいはある」
という名言です。
生きることは素晴らしいこと。それはクラゲであっても変わらない。
生命にとっては、生きていること、その事が美しく価値あることなのだ。
生きがいを見失い自殺してしまうクラゲはおそらくいない。
クラゲにとっては、生きていること自体が生きがいなのです。
クラゲが地球に出現したのは5億年も前のことです。
そんな昔から現代まであの形のまま生き抜いてきたんですね。
生まれたばかりのクラゲは、プラヌラという小さなプランクトンとして浮遊している。
そのプラヌラは岩などに付着すると、そこに芽を出しポリプというイソギンチャクのような生きものになる。
ポリプは動きまわることはなく、その場所にじっとして定着して暮らすのです。
そしてポリプは分裂して増殖できる。まるで植物のようだが、れっきとした動物です
やがてポリプはお椀が重なったような”ストロビラ”という形態に変化する。
そして、このお椀がバラバラに離れていくように次々に分身を作り出していく。
このお椀のような分身がエフィラと呼ばれるくらげの幼生なのです。
このクラゲの幼生のエフィラは、泳ぎながら成長し、やがてクラゲとなります。
このクラゲが体内で卵をかえして次の世代のプラヌラを生み出します。
プラヌラを生んだクラゲは死んでしまいます
このようにして、クラゲの生活史は永遠に繰り返されているのです。
クラゲの成体の寿命は長くても1年程度です。
ところが、ビックリです。死ぬことのないクラゲが存在するのです。
それが、「ベニクラゲ」です。
ベニクラゲは、他のクラゲと変わらずにプラヌラ⇒ポリプ⇒ストロビラ⇒エフィラとなりクラゲとして成長します。
そして死を迎えるはずが、なんと死んだと思われたベニクラゲは、不思議なことに、小さく丸まって新たなポリプとなるんです
そして、再びポリプから生活史を再スタートさせるのです。
これをなんとベニクラゲは繰り返します。
なんどでも繰り返し、不老不死で、もしかしたら古代からずっと生きているベニクラゲがいるのではないかとも言われています
もし、5億年も生きる事ができたら、どうしますか。
そんなことも考えなくなりますね、だって無限に時間はあるから急ぐとかやらなければならないことは、いつかやればいいのです。
何年何千年と生きてきたベニクラゲにとっても天敵のウミガメには一瞬にして食べられてあっけなく死んでしまう。
寿命のないベニクラゲにとっても死とは、表裏一体なのです。
参考:生き物の死にざま(稲垣栄洋著)