650年の古民家で見習うべき里山の暮らし
京都京北の里山
「京北の自然の循環に勝るものはない」と650年の歴史を継ぐ古民家で79歳の河原林さんは話し緑美しい里山で暮らしている。
京北は京都市の北西部「桂川」の源流域に位置しています。
面積は大阪市とほぼ同じの217.68㎢ の大きさで、その広大な土地の93%が森林に占められた緑あふれる環境です。
そんな、多様の野生動物と植物、人間の住居(すみか)の境界線にある里山は日本古来から生活のための必要な薪や炭、山菜など季節のめぐみと共生しながら暮らしてきました。
暮らしの営みを通して里山に向かい、自然の一部として暮らしてきたことで知恵や文化を生み循環をする里山の暮らしが生き続けている。
京北はまさにそんな美しい緑の里山で古来から良質な木材の生産地として有名で、平安京の時代から林業が栄えていた。
長岡京・平安京の造営時や京都御所炎上の際には、膨大な量の建築用材が、桂川・保津川を経由して「筏流し」で運ばれました。
現在でも、都へ木材を供給している事から、木材の名産地として知られています。
河原林さんの庭から辺り一面に広がるビオトープ(BIOTOP:生物の生息空間)が見え、小川や湿地帯、山野草が咲く空間ができている。
ビオトープは周りの人たちと作り上げ河原林さんの頭の中には、水などすべての生態系の循環図が刻まれていると言うからビックリですね。
「各家庭に畑があり、そこで出来た農作物を人が人が食べて肥となり、それがまた畑で使用され。出来た農作物をまた人が食べて………..それぞれが循環して生きています」
これは正に農林水産省が奨励している「地産地消」ですね。
さらに「茅葺き屋根の家や、メダカやドジョウがいる池、そうした昔ながらの田舎の風景を大事にしたいと思ったんです。」と言う。
それにしても河原林さんは、木を切って皮を剥いだり、石を組んだり、土を掘ったり、百姓のようにさまざまな技を繰り広げます。
そのスキルは、どこで習ったのかと聞くと「失敗と経験を繰り返しながら自然のリズムを学んできた」と言います
河原林さんは茅葺き屋根の古民家に住んでいます。
その茅葺き屋根の古民家も循環を象徴するものの一つです。
日本古来の家づくりの基本の茅葺き屋根は、地域資源を有効に活用することにつながっている。
1年のサイクルの中で茅場に行き、刈り取りを行い、茅葺き屋根を作っていた
集落で毎年茅葺き屋根の家を順番にまわり地域が一体となって茅葺き直しを行って暮らしの一部としていた。
「茅は、すべてが循環していて、屋根だけではなく牛馬の飼料や古くなったものは田畑の堆肥として自然に還っています。
茅に水をかけて石灰を入れたら、2年後にはカブトムシも寄ってくると言う
茅葺き屋根の家の中は夏は涼しく、冬は暖かいため、日本の風土に適してる
また、河原さんの古民家ではトイレは排泄物を肥料に変えてしまうしまう、コンポストトイレを使用してる。
ちなみに河原林さんの家にエアコンは無いそうです。
おがくずに用を足すと微生物がし尿を分解し堆肥となり鶏小屋に入れておくと特有の匂いがなくなるという。
河原林さんの生活はずっと昔から、このような無駄がない循環型の生活をおくっているのです。
今の時代ちょっと信じられない、かもしれませんが、京北の茅葺きの家が多い地域はコミュニティーが良くなるのでしょう。
サーキュラーエコノミーはまさに里山
サーキュラーエコノミーとは
従来の資源を採掘して、作って。捨てるというリニア(直線)型の経済システムではなく、廃棄される資材などを新たな「資源」ととらえ循環する経済の仕組みのこと。
英国ではサーキュラーエコノミー推進機関エレン・マッカーサー財団があり3つの原則がある
- 自然のシステムを再生
- 製品と原材料を捨てずに使い続ける
- ごみ・汚染を出さない設計
を挙げている。
また、この3つのうちの「自然の再生」は「リジェネレーション」(再生)を表し、人間を自然の一部ととらえ人間が自然に働きかけていくことで再生していくという考え方です。
この考え方は正に里山のありかたそのものと語り、自然と人間は切り離されたものではなく同じシステムの中で共に繁栄してきたのだ。
私たちが都市型で暮らしていると生活の中に里山のような自然との接点がありません。
昔から里山と共生してきた日本人は、里山の自然と人間、人間と人間の関係を改めて教えてくれる存在です。
少しでも理解をして見直すことも良い事ではないでしょうか