ミノムシの季節でも意外と知らない世界です
ミノムシの季節
ガの幼虫で一般にはオオミノガ、チャミノガの幼虫を指す。
幼虫が作る巣が、ワラで作った雨具「蓑」と形が似ているため「ミノムシ」と呼ばれるようになった。
ミノムシは別名「鬼の子」という。
ミノムシは鬼に捨てられた子どもで、粗末な蓑(みの)を着せられているのだというのだ。
そして秋風が吹く頃になったら迎えに来るから、それまで待っているようにと鬼に言われたのだという。
そのため、秋風が吹く頃になるとミノムシは「父よ、父よ」と父親をしたってはかなげに鳴くというのです。
ミノムシは実際には鳴きません。
昔の人はこおろぎの仲間のカンタンが木の上で「チチヨ、チチヨ」と鳴くためミノムシが鳴いていると勘違いをしていたのです。
僕が子供の頃には、ミノムシをとって遊んでいるくらい、あちこちにありました。
最近は、外来種のヤドリバエが成虫であるオオミノガに寄生しが激減しているため絶滅危惧種に選定されるようになってしまった。
不思議な生態
メスのオオミノガは一生を蓑の中ですごす。
蓑の中で産卵し、孵化し、孵化した幼虫は、風に吹かれて分散し、たどり着いた木の枝や葉の上で、口からはいた糸で葉や枝の表皮の断片を素材に最初の蓑を作り出す。
その後、ミノムシは体の成長に合わせて、蓑素材の葉や枝の大きさを替えながら蓑を大きくしていく。
こうして外の鳥に狙われることから身を守りミノムシにとって危険な寒さから守るために内側には口から吐く白糸でフェルトのような丈夫な蓑を作ります。
こうして身を守りながらミノムシは蓑の中から時々身を出して、まわりの葉っぱを食べたり上半身を出して移動したりしています。
オスとメスの違い
オスのミノムシが成虫になるが口がないのです。
不思議にエサを食べないのです。ほかの栄養補給もしません。
オスは成虫になると蓑の下から外に出てメスを見つけ交尾しそのまま息絶えてしまいます。
栄養補給がままならないので、メスにたどり着く前に力つきてしまうものもいるようです。
なんとも切ない、はかない一生でしょうか。
オスが切ない運命をたどっているが、なんとメスもむなしい試練をあたえられています。
彼女たちは蓑から出ることなく、姿はオスと違い羽も足もありません。
すなわち。動く事ができない構造になっていて、ただひたすら臭いを発して、じっとオスを待ち続けるのです。
ことよく交尾ができると、すぐに数千個の卵を産んで静かに生涯を終えるのです。
2~3週間たつと卵が孵化し、親のミノムシは干からびて蓑の外へとおちて、ようやく蓑の外に出るのです。
生まれたばかりの幼虫は、蓑の外に出て糸を長く伸ばし垂れ下がり、風に揺られて新しい木の枝や葉っぱに移っていきます。
ミノムシのメスは巣の中に生まれ生涯の大半を蓑の中で過ごし一生を終える。
自分も小さな町の中でほとんどを過ごし、大きく羽ばたくことはない。
会社と家庭とを中心にして、毎日を暮らしている。ミノムシのメスと同じようだ。
それでもミノムシも自分も幸せならばいいのではないでしょうか。
「みのむしの音をききにこよ草の庵」 松尾芭蕉
「蓑虫の父よと鳴きて母もなし」 高浜虚子
参考:BUNA、ミノムシ、生き物のしにざま(稲垣栄洋著)、ホンシェルジュ、Wikipedia、