温室効果ガスの排出に注目の「ブルーカーボン」
最近はグリーンカーボンやブルーカーボン、ゼロカーボンなど地球温暖化の原因のひとつとした脱炭素が大きな問題として取り上げられています。
この地球規模の問題に対して各国がさまざまな取り組みをしています。
世界的な動き
- 1992年:ブラジルのリオ・サミット(地球サミット)で、まず、国連気候変動枠組条約が採択された。
(この頃から、いずれは脱炭素化しなければ温暖化は止まらないといわれていた) - 1997年:「京都議定書」で、気候変動枠組条約において、各国へのルールが決まりました。
このルールは、量の削減ではなく、現在の状態から何%減らすかの目標を決める、低炭素社会の取り組みでした。 - 2015年:「パリ協定」で、国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP21)で合意され、2016年11月4日に発効しました。
この協定は、世界的な気候変動を抑制するために、世界各国で協力して取り組むことを定めた国際的な協定で、今回のパリ協定では、世界の温室効果ガス排出量の約86%を占める159ヵ国もの国々が締結に参加し、地球規模の大きさとなりました。
日本の宣言
2021年11月に開催されたCOP26の首脳級会合(リーダーズ・サミット)で、日本は脱炭素に関する日本の最新目標を宣言した。
- 2030年までに2013年の温室効果ガスの排出量比で46%削減する
- 2050年までにカーボンニュートラルを実現し、脱炭素社会を創り上げる
カーボンニュートラル
カーボンニュートラルの実現とは、CO2だけではなく、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」の排出量から、森林などの自然などに吸収される量、また除去される量を差し引いて、全体として差し引きゼロ(実質ゼロ)にするという考え方・取組みのこと。
カーボンニュートラルと脱炭素との違いは、脱炭素は「完全に炭素を除く」ことを意味し、カーボンニュートラルは、「ニュートラル(中立にする)・差し引きゼロにする」という意味になります。
すなわち、カーボンニュートラルは、どうしても削減できないという難しさから、排出から吸収、除去を差し引くことで「ニュートラル(中立)」な状態にすることです。
ブルーカーボン
2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示された。
引用:国土交通省
ブルーカーボン・ポスター
グリーンカーボン
陸上の植物が大気中のCO2を吸収して光合成反応により作り出す有機炭素化合物のこと
簡単にまとめると
- ブルーカーボン:海洋生物により吸収・貯留される炭素のこと
- グリーンカーボン:陸域生物により吸収・貯留される炭素のこと
今まで、地球にある陸のうっそうとした森林などが二酸化炭素を吸収してくれていると思っていました。
しかし、海の中でも陸上と同じように二酸化炭素が生物により吸収されているのです。
最大の吸収源は、「沿岸浅海域・えんがんせんかいいき」(太陽の光がとどく、水深数十メートル程度までの海域のこと)に広がるマングローブ林や塩性湿地(海岸にある湿地・沼地であり、海に近いため潮汐の影響により、時間帯により塩水・汽水に冠水する)、海草藻場(うみくさもば)で、ここで光合成により吸収された二酸化炭素は、有機炭素として生物の体内を経て、海底に長期にわたって貯留されます。
日本では国土交通省や農林水産省が中心となり官民一体の研究が進められています。
少しでも役に立つことがあったら積極的に参加したいものです。
参考:NTT、サステナブルスイッチ、国土交通省、