新聞紙などの回文は、世界の遊び言葉です
「回文」をご存じですか。
普通に始めから呼んでも、終わりから逆読みしても、同じ言葉や文章になる言葉遊びのことを言います。
お正月などで、七福神の絵が描かれている紙に下記の回文の歌が書いてあり、それを枕の下において眠ると縁起のよい初夢を見られると言われています。
「長き夜の十(遠トモイウ)の眠りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」
(なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな)
これは室町時代に起きたことで「初夢文化」と呼んでいます。
江戸時代になると初夢文化は庶民にも広まり、1月2日の縁起の良い初夢を見られるように、宝船の描かれた回文を枕の下にしき、さらに書かれている回文を3回唱えてから寝るようになった。
もし、それでも悪い夢を見た場合は、翌朝、宝船の絵の紙を川に流して厄払いをしたそうです。
回文のいろいろ
短い回文
例えば短い回文では
- やおや(八百屋)
- しんぶんし(新聞紙)
- みがかぬかがみ(磨かぬ鏡)
- いろしろい(色白い)
- みなはなみ(皆花見)
- なわのわな(縄の罠)
などなどがあります。
「回文の日」という記念日があり、12月21日ですが、これも「1221」の回文のようになっていることから制定されました。
回文は中国から伝わったといわれ、日本で最も古いといわれる回文は平安後期の作で
「むら草に くさの名はもし 具はらは なそしも花の 咲くに咲くらむ」
という和歌ですが、言葉遊びが強く表れています。
漢字の回文
漢字の回文というものもあります。
- 海苔のコマーシャルで有名な「山本山」
- 落語家の「三笑亭笑三、三遊亭遊三」
- 日曜日(ヨミ:にちようび)
- 馬車馬(ヨミ:ばしゃうま)
- 運不運(ヨミ:うんふうん)
なるほどと思わせるもには、漢字や仮名でもなくローマ字だと回文になるものです。
ローマ字の回文
- 地名の赤坂「AKASAKA」
- 人名の奥山真由子さんという「OKUYAMAMAYUKO」
- 人名でノーム・レモン「NOME LEMON」
と、いろいろあるものです。
回文の発祥
海外にも回文はあるようで、回文の歴史はなんと西暦79年の古代ローマの遺跡からラテン語で「Sator Arepo Tenet Opera Rotas(農夫のあれぽは馬を引いて仕事をする)」という回文が発見されていて、回文の発祥はそのころといわれています。
海外の回文
古代ローマから回文は発信され、その後、世界中に広まって、ヨーロッパやアジアなどでも作られるようになった。
外国にも同じような遊びがあり、英語では「palindrome(パリンドローム)」と言います。
スペルの並びが回文になっています。
- 「Able was I ere I saw Elba.」エルバ島を見る前は私は有能であった。
ナポレオンが晩年に過去を回想したことばです。 - 「Madam, I’m Adam.」奥様、私はアダムです。
- 「Was it a cat I sow」私が見たものは猫でしたか?
中国では回文のことを「倒順句」といいます。
- 「塩飛乱蝶舞、花落飄粉匳、匳粉飄落花、舞蝶乱飛塩」
(雪をたとえると、塩が飛んで乱れる蝶が舞い、花が落ちておしろい箱にただよい、箱のおしろいは落花にただよい、舞う蝶が乱れて塩を飛ばす。) - 「上海自来水来自海上」(上海市の水道水は上海からくる)
など、まだまだフランス語、ドイツ語、オランダ語などであります。
変わったところでは、音楽の回文があるそうで、ハイドンの交響曲第47番『パリンドローム』の第3楽章は、逆から読んでも同じ楽譜になる。
回文は世界に広まった遊び言葉なんですね、日常でも「トマト」「花の名は」など使っているのです。あなたもユーモアたっぷりに頭ひねって考えてみてはいかがでしょう