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「生物多様性」は世界的な動物由来感染症を防げるのか

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もその一つといわれる動物由来感染症(zoonosis)

動物由来感染症とは

動物から人に感染する病気の総称です。人と動物に共通する感染症 (Zoonosis:ズーノーシス ) は、「人獣共通感染症」や「人と動物の共通感染症」ともいわれますが、厚生労働省は人の健康問題という視点から、「動物由来感染症」という言葉を使っています。

引用:厚生省

なぜこれらが増えてきたのかは、人が森林や未開拓地息に踏み込み、その環境を破壊し今まで入り込んだことのない自然の奥まで入り込んだために発生し、拡散をしてしまった。

大切な森林

そうして、ウイルスなどの病原体は、菌を保有している様々な野生動物と人や家畜が接することの場が増えたことによるとされています

では、このような接触の機会をなくせばよいと思っても、現実的には不可能なことです。

放牧されている動物は野性動物との接触が多く、それが、食用に利用されていますし、地域によっては、野生動物は今も人々の重要なタンパク源となっているのです。

ウィルスの感染拡大を弱める生物多様性とは

生物多様性とは、その地域に生息している野生生物の種類が多ければ多いほど、動物由来感染症のリスクは低下すると言われ、そのことを「希釈効果」と呼ばれています。

WWF(World Wildlife Fund:世界野生生物基金)が発表した「生きている地球レポート2020」によると、世界の生物多様性は過去50年で68% 喪失。人間の消費は地球が生産できる範囲を60%超過。ということです。

地球環境は深刻な状況であり、人間の消費や廃棄の増加が原因であることに、すでに多くの人々が気づいています。しかし、消費や廃棄を抑える行動を起こす人々はごく一部に限られています。

忘れてはならない重要なポイントは、地球環境が危機的な状況にあり、自然の回復なくして未来を語ることはできない、という点です。

IUCN(国際自然保護連合)の『レッドリスト』に掲載されている絶滅危機種の数は、今や全世界で3万種を超え、さらに増え続けています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、今、各国では食肉やペット目的で利用される野生生物の取引規制強化を求める動きが広まっています。

このように人間が住む社会の対応策も重要ですが、人間社会に入り込まない根本の対策も同じように重要事項です。
その根本対策が生物多様性の保全であることは間違いありません。

少種の絶滅を防ぐ保護活動や、森林などの生態系の保全、そして地球温暖化緩和などの生態系サービスの維持・回復などの取り組みは、人の健康を守る上でも欠かせないものになっているのです。

生物多様性条約(CBD)

生物多様性に関する包括的な条約として、生物多様性条約(Convention on Biological Diversity)が1992年にブラジルのリオデジャネイロ開催の国連環境開発会議(地球サミット)で採択された。

この条約の目的は、3つあり

  • 「地球上の多様な生物を生息環境とともに保全すること」
  • 「生物資源を持続可能であるように利用すること」
  • 「遺伝資源の利用から生ずる利益を、公正・衡平に配分すること」
    で、先進国の資金や技術をもって途上国を支援することで、経済的・技術的にそれらの国々の取り組みに協力する仕組みとなっている。

日本は生物多様性国家戦略の取り組み

生物多様性国家戦略とは、生物多様性条約及び生物多様性基本法に基づく、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する国の基本的な計画のこと。今までの政策に下記3つをくわえた。

  • 人類の生存基盤である生物多様性と生態系の健全性の確保・回復のための取り組みのさらなる強化
  • 社会的課題の解決に向けた自然を活用した解決策(NbS)の積極的活用を掲げる
  • 社会と個人それぞれの価値観と行動が自然共生社会の実現に向かうよう、ビジネスと生物多様性の好循環とライフスタイルへの反映を挙げる

    トキ

私たちも一人ひとりが当事者意識を持ち、まず小さなことから行動をおこしてみてはいかがでしょう。

など、まずはご覧ください。

参考:IDEAS FOR GOODWWFジャパン厚生労働省

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