市場に出回らず使われることの少ない「未利用魚」とは
最近スーパーの鮮魚コーナーで目立つのは聞いたことのない魚が陳列されてます。
時にはこの魚の採れる経緯や食べ方、調理方法などが書かれたものが一緒に見られます。
未利用魚とは
これらの、食べられる魚にもかかわらず利用されていない魚介類のことを「未利用魚」といいます。
また、よく似た言葉に「低利用魚」と呼ばれ、利用度の低い魚をあらわしている。
これらの魚がなぜ利用されていないのか、
- サイズが規格外
- 漁獲量が少なく流通させるのには適していない
- 一般消費者に、なじみがない
- 食べ方がわからない
- 見た目が悪く敬遠してしまう
など、魚そのものに由来するものやサプライチェーン側の冷凍・冷蔵技術の未整備などのインフラ整備が原因になっている。
FAO(食糧農業機関)が公表した「2020年 世界漁業・養殖業白書」によると、世界のほとんどの地域で獲れた魚の30〜35%は、そのまま海に戻されたり廃棄されたりしている。
乱獲が続く昨今で漁獲高は頭打ちとなっていて未利用魚・低利用魚の活用は世界的にとても重要な課題となっています。
そこで、近年は徐々に未利用魚・低利用魚を活用する取り組みが広がりつつあり、その一環として前述のスーパーでの取り組みというわけです。
企業の取組み
2015年から、回転寿司チェーンの寿司店では、海洋資源の保護と漁業活性化を目的に定置網で漁獲したすべての魚を買い取る取り組みをおこなっている。
そこの中に含まれている未利用魚・低利用魚を加工食品にしたり駆除魚といわれる ”ニザダイ”をキャベツを餌に養殖して特有の臭みを消して寿司ネタに提供するなど商品化に努めている。
缶詰の商品化
島根県浜田市の浜田漁港の水揚げ量が減少し、そのことに危機感を覚えた地元の水産加工会社が、未利用魚を使った缶詰「今朝の浜」を商品化している。
浜田漁港の漁獲量は30年前に比べると10分の1にまで減少しているとのこと。
これまでにも、都会のスーパーや鮮魚店では見かけない約50種類の未利用魚を缶詰にしている。
漁業を支えるために、未利用魚はその日のうちにすべて買取り、その日の仕入れ次第でラインナップが決まり、中に入っている魚は開けてからのお楽しみ。
これが、都会の消費者が興味を持ち、レアものの「珍しさ」が人気だとか。
丘漁師組合の誕生
産業排水や生活排水のの海洋汚染が問題になっていることは、周知の通りですが、なかなか改善がみられず、おまけに乱獲によって資源の枯渇や生態系バランスの悪化、気候変動など問題は多岐にわたっている。
都市部に暮らす人々の多くも魚を食べる機会は多いと思います。しかし、実際は海の現実や課題を知ることもなく、食卓に上がる魚を食して過ごしていると思います。
そんななか、サーファーの格好をしているのに実際はサーフィンをしない「丘サーファー」から着想をし、釣りもできず、魚もさばけずの「頭でっかち」を「丘から海を考える」のコンセプトで「丘漁師組合」というプロジェクトが立ち上がった。
漁師さんたちがいう「将来食べられなくなるくらい魚が減っている」の声をよく聞きますが、一般消費者はその事実は把握していません。
プロジェクトの活動の中に、海に関連することに目を向けてくれるよう、企画し考えて行動をする。
そのためにも未利用魚・低利用魚のメニュー開発などを発信している。
海面漁業・内水面漁業などの総水揚げ量のうち、約3〜4割が市場で値がつかない理由で未利用魚として廃棄されていると言われている。
その事は漁業従事者の利益の減少となり、未利用魚の活用は、フードロスの防止、漁業従事者の利益の確保につながり、獲りすぎを防ぎ、持続可能な漁業へつながる事だと行動を起こしている。
「もっと人と海の文化をつなげていきたい」と丘漁師組合は活動を 広げている。
日本にとって海に囲まれ恩恵を受けているが、海について意識をすることが少ないですね。
都市部にいる人たちも、たまには現地の漁港や市場などに行って肌で感じとり、海との距離を縮めることが必要ですね。