「カゲロウの命」は儚く尊い
カゲロウとは
「カゲロウの命」と言う言葉は、人の命の一生のはかなさをたとえた言葉です。
カゲロウは節足動物門、昆虫綱・カゲロウ目(蜉蝣目)Ephemeropteraに属する昆虫の総称です。
カゲロウはトンボにそっくりの昆虫ですが、トンボのように颯爽と飛んだりすることはできない。
飛ぶ力は弱く風に舞うかのように空中を飛ぶ。
日本語のカゲロウは空気がゆらゆらと揺らめいてぼんやり見える「陽炎・かげろう」に由来するといわれている。
ゆらゆらと飛ぶようすが、陽炎のように見えたからという説もある。
いずれにしても、カゲロウの飛ぶ様子からも弱々しい虫で成虫の命のはかないイメージがある。
そんなことから、弱々しい虫は成虫になって一日で死んでしまうことから、「はかなく短い命」の象徴として、「かげろうの命」という言葉が作られている。
日本以外でもか弱くはかないものの代表として扱われてきた。
学名(Ephemeroptera)自体が1日の命という意味と「翅・はね」という意味のラテン語から作られた造語です
ドイツ語でも Eintagsfliegen(一日飛虫)と言い、いわゆる一発屋の意味にも用いられる。
このようにカゲロウは、幼虫→亜成虫→成虫という半変態と呼ばれる特殊な変態をし、成虫は軟弱で長い尾をもち寿命が短い。
カゲロウの成虫は確かに数時間で死んでしまう短い命です。
カゲロウの幼虫は、水の中で何年間も過ごします。
2~3年と考えられていてセミ(セミの幼虫は7年間土の中で過ごす)と同じように幼虫で過ごす時間が長いのです。
カゲロウの幼虫はすべて水中で生活し多くは川の流域で生息している。
そのため、渓流釣りの餌として、よく利用され、「フライ・フィッシング」の疑似餌・毛鉤のモデルとしてもよく利用されている。
前述のようにカゲロウは半変態であり普通の昆虫は幼虫が羽化して翅をもち成虫になる。
が、カゲロウは幼虫から羽化しても、成虫になりきれず「亜成虫」という成虫の前段階になる。
その後、脱皮をして成虫となる。
3億年前から生息しているといわれるカゲロウは地球上で、初めて翅をもち空中を飛んだ昆虫ではないかと推察されている。
現在も姿かたちを変えずに生息してるのはすごいの一言ですね。
まるで、生きた化石と言っても過言ではないと思います。
カゲロウは亜成虫から成虫に羽化するときは、日が傾き薄暗くなってから始まります。
これは、天敵である鳥から逃れるための行為です。
成虫になったカゲロウは、実は餌を獲ることはないのです。
ではなくて、餌を獲る事ができないのです。
餌を食べる口が退化してないのです。
成虫のカゲロウにとって、餌を食べて生きながらえるより子孫を残すことが大切なことなのです。
考えれば、成虫になりゆらゆらと飛んでいては、天敵から逃げることは不可能です。
ましてや、身を守る術があるわけではないのです。
そんなカゲロウが半端ではない大きな大きな群れを作ります。
夕方に羽化して成虫となり大発生して空中に舞うカゲロウは、まるで紙吹雪のようになるのです。
日本でも、オオシロカゲロウが大発生して、交通マヒを起こすことさえあるのです。
夕方に羽化して大発生し、その群れを狙っている天敵がいます。
コウモリです。
御馳走を前にしてコウモリたちは次々にカゲロウを捕食する。
しかし、大きな大きな群れを食べ尽くすことはできません。
このカゲロウたちの作戦は天敵から身を守る最高の作戦だったのです。
もちろん、食われるものもいます。
生き残りをかけた群れで、生き残ったカゲロウたちがオスとメスが出会い、交尾をするのです。
しかも、寿命は極端に短く許される時間は限度があります。
そして、交尾を終えるとオスたちは、その生涯を終えます。
メスたちは時間との戦いの中で、川の水の中に卵を産まなければならないのです。
しかし、無事に川面にたどり着いても魚たちが、格好の餌として待ち構えているのです。
ここでも、ある物は食われ、ある物は生き残る。
運よく生き残ったメスたちは、卵を産み落とし、卵は静かに水の底にたどり着きます。
そして、見届けたかのようにメスのカゲロウの命は消えていきます。
3億年の長い歴史の中で進化してきたものは、絶対的に子孫を残すことであり、天寿を全うしているのです。
それにしても、何というはかない生物なのだろうか、「はかない命」は壮絶な生き方でもあるようだ。
参考:Wikipedia、生き物の死にざま(稲垣栄洋著)