猿山と動物園・・その2
猿山は人間社会と同じ
上野動物園のサル山は、生後3か月くらいで、子ザル同士がいっしょに遊ぶようになります。
木登りやレスリングなどの遊びを通じて身体が鍛えられて、ケンカをして負けたときの逃げ方など、サル社会に必要なものを身につけていきます。
もう少し大きくなると、サルの群れの規律を乱す若いサルに、親以外の大人たちが注意をするようになり、群れのしつけは群れ全体で行い、サルの群れ社会に順応していきます。
少し前の、日本も悪いことは悪い、ダメなことは駄目と、どの大人もどの子供に対して教えていました。
残念なことに昨今では、そんなことがなくなりややもすると、変な大人が多いからと挨拶さえしない子供が多くなりました。
確かに、変な人が多くなりましたが、そこは子どたちへ、その場合の対処をどうするべきかを教えることが大事だと思います。
サルの社会を見て教えを見直すべきだと思います。
サル社会の教え
「サルは子供同士のあそびの中から喜怒哀楽などを覚えていくんです」と元飼育担当者はいっています。
現代では、こわもてのうるさいおじさんがいなくなり、寂しい限りですが、サル社会には今もそんな頼もしい存在のサルが残っているのです。
そんなサルの社会を見に来るファンもいるようです。
サル山の中で繰り広げるドラマを見にスーツ姿のサラリーマンが平日にもかかわらず、じっくりと観察をしている光景もしばしば見受けられる。
会社の自分の姿をサル社会に投影しているのでしょうか。
このサル山には、会社や家庭とは比べられないほど厳しい「掟(おきて)」があるのです
まず、権力闘争はこの岩山で何度となく壮絶なたたかいがくりひろげられてきた。
約50年前の壮絶なクーデター劇は飼育員たちの語りぐさだそうです。
一夜にして政権交代が実現した「ニーロク事件」とは当時のボスは女帝だった。
そのお気に入りは「ペコン」という名前のオスザルです。
群れの中でやりたい放題をしていたが、他のオスたちの我慢の限界が達して、翌朝ペコンが傷だらけで見つかった。
クーデターを率いたのはオスの「シサシ」だった。
「シサシ」は、ボスの座に納まり女帝は失脚した。
「ボスザル」と言えば、派閥の長を指す言葉でも使われていましたが上野動物園では「ボス」という呼称は使っていない。
以前は、群れをなす中で統率力のあるサルがボスとなっていたと考えられていました。
しかし、最近の生態研究から、野生では群れを統率する絶対的なサルはいないことが判明した。
ケンカは強いが仲間のケンカ仲裁などの統率する行為が見られない。
いわゆるボスらしくないことは、サルの習性ではなく、個性なのではないかとの見方から動物園では群れのトップのことを、ケンカが一番強いという意味で「第一位」呼ぶようになった。
ユニークなサルの名前
サル山のサルには名前がついています
「サトイモ」「ダンジュウロウ」「アジ」「イヨカン」「カクレンボ」「フクワライ」「プテラノドン」などと変わった名前ばかりです。
名前の付け方は1970年にルールが統一されるまではバラバラだった。
サル山には常時30~40匹のサルがいます
飼育員も名前を覚えるのも大変だったのでルールが決められた年ごとにテーマを統一する。
血縁関係がわかるようにする。
(頭文字に、母ザルからもらった文字を使用する)と決められた。
2002年のワールドカップの時は「サッカー用語」で「ヨコパス」「カベパス」「レッドカード」な
ど変わった名前で、来園者により親しみを持ってもらえばという狙いもあったそうです。
サル社会の特性や個性あふれるサルたちの生態をゆっくり眺めてみてはいかがでしょう。
何か感ずることがあるかもしれませんよ。
参考:読売新聞、