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ナマケモノの生態って、どんな進化をしたんだろう

究極の「平和主義」のナマケモノは、
動かないことが生きていくことの戦略なんです。

ナマケモノの特徴1

ナマケモノはまったくの、怠け者で
その名の通り

  • 睡眠時間は1日最長で20時間

ナマケモノ

  • 歩く?トップスピードはたったの「時速160m」

(ちなみに赤ちゃんのハイハイは、NYUで研究され
最高で時速1~1.4Km/h程度との事です)
(余談ですが、この赤ちゃんの速度は、桜前線の
スピードとほぼ、同じだそうです。)
赤ちゃんより、かなり遅いです。

出典:ハイハイの速度 より

  • 食事は1日に葉っぱ8g
  • 食べたものを消化するのにおよそ16日ほどかかります

不思議なことに、「お腹がいっぱいだけど餓死する」ことさえある。

  • 3週間に1度だけ、排泄のために地上におります。

その時には、摂取した栄養のおよそ50%が森に還る。

どんな経緯でナマケモノがこのような生態になったのか
解明はされていない。

 

しかし、この究極の選択肢である「不合理な動きの生存生活」は
現在でも、この種が生きながらえているのです。

ナマケモノの特徴2

あまりの動きの無さに、捕食動物から身を守ることができ
エネルギーの消費も微小ですむのです。

また、動かなすぎて身体にコケが生えます。
このコケは、身を隠す役割と、貴重な食料として活躍します。

コケだけではなく、ナマケモノの身体には多種多様の昆虫や
藻類が住み着いているんです。

とくに有名なのが、メイガ科のだそうです。

このたちはナマケモノの被毛のなかで、居心地のいい
住みかとして生息し、その被毛の中で交尾しナマケモノの
排泄物に産卵し生涯を終えます。

この蛾は相利共生としてナマケモノの被毛に窒素量を増やす
事によって藻類を育てています。

日頃は樹の上で生活(じっとしている)しています。
これは、地上の天敵のジャガーから身を守っています。

空からの天敵のワシは、彼らのエサのうち、なんと3分の1が
ナマケモノだそうです。

オウギワシ

ワシに対する2種類の対応

ワシを前にするとナマケモノは、2種類の対応を取ります。
1.先にワシを見つけた場合
木にしがみついていた手をパッと離して、地面に落ちる。
(この時に、骨折する事もある)

2.ワシに見つけられてしまった場合
早々とあきらめて、せめて痛くないように全身の力を抜く。

決して、長い爪で戦おうなどとは思わないし
ナマケモノの鉤爪は武器にはならないのです。

また、動きすぎると体温が上昇しすぎて死んでしまいます。

ナマケモノは外気温に合わせて体温の上下でき、無駄な
エネルギー消費を抑えることができます。

このことは、すごい特殊能力で、他のいかなる哺乳類も真似は
出来ません。

こんな不可解な行為としぶとさを持つナマケモノですが
ごく最近、実は重要な意味を持っていることがわかった。

ナマケモノの恩返し

ナマケモノが住んでいる熱帯雨林の土壌は、栄養がなく
木が育ちにくい。


熱帯雨林

年間を通して高温多湿の熱帯雨林で、土の栄養になるはずの
落ち葉や倒木が、バクテリアなどの微生物に跡形もなく
分解されてしまう。

熱帯雨林の木は根が浅く一度森林が失われると急速に
土壌が流失して砂漠化してしまう。

ナマケモノが地面に埋める排泄物は、熱帯雨林の植物に
とって貴重な栄養になっているのです。

ナマケモノはわざわざ穴まで掘って排泄をします。
まるで、自らの命を守ってくれる木に恩返しを
しているようです。

世界の大気中の酸素の40%は熱帯雨林の木から
供給されていると推測されています。

さらに、熱帯雨林には地球上の50%~80%にあたる
多種多様な生物が生息している。

我々人間は森林を切り開き、毎秒0.5~0.8ヘキタールもの
スピードで熱帯雨林を破壊している。


砂漠化

地球の16%を覆っていた熱帯雨林は半分の7%までに
減少し、このままだと40年程度しかもたないと言われている

ナマケモノは自分の命を危険にさらしながら、熱帯雨林を
支えてくれているのです。

ただ、進化する事がいいのではなく、自然にも優しくなれる
ことが一番の進化だと教えてくれています。

動かないのではなく、実は、筋肉がなさすぎて動けないのです。
筋肉がない為にいつも笑っているように見えます。
体臭はほとんどなく敵に気づかれにくい
そんな、ナマケモノです。

 

参考:ジャングルタイムズ、LIFE(麻生羽呂×篠原かをり)著

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