冬の花の女王、かがり火花「シクラメンのかほり」
冬の代表の花としては、シクラメンが一番ではないでしょうか。
原産地は地中海沿岸地方の多年草の球根植物の総称。
クリスマスやお正月が近づくとあちこちの園芸店や花屋さん店頭に、赤やピンク、白などの定番色に加え、黄色や紫色の珍しい花色、多様の花形の鉢植えが並びます。
和名は、カガリビバナ(篝火花)
その花形には、八重咲きやウエーブがかかった花弁のロココ咲きなどがあり、近年では香りを持つ品種まで、毎年次々と新品種が発表されています。
そのためシクラメンは、「鉢植えの王様」とも呼ばれています。
花持ちが良く開花期が長いのが特徴で、それも人気のひとつかもしれません。
シクラメンの伝説
シクラメンには、素敵な伝説があります。
昔、ソロモン王が自分の王冠になるお花を探していましたソロモン王はお花が好きでお花とお話できたのですどのお花もお断りするなかでシクラメンだけが王さまの申し出を受け入れます王さまはとても喜んで感謝の言葉を表したところシクラメンは嬉しさと恥ずかしさのあまり、それまで上を向いていたのをうつむいた姿になった。引用:Wikipedia
という伝説があり、これは、シクラメン(カガリビバナ)がやや下向きに花をつけることに基づいた伝説です。
この花の花言葉が「内気なはにかみ」とされているのがわかるような気がします。
この和名のガガリビナは、この花を見たある日本の貴婦人が、「これはかがり火のような花ですね」と言ったのを聞いた植物学者が名づけた。
確かに、シクラメンの5枚の花びらは下から上に向かって反り返って伸びてますね。真っ赤な花びらがまるでかがり火が燃え上がるように見えます。
ところが、これに比べると「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」という別名があり、これは英名を日本語にそのまま移し替えた名前です。
シクラメンはお正月を過ぎても、寒さを忘れさせるように冬を明るく飾る花なので「冬の花の女王」と呼ばれることもあります。
シクラメンのかほり
ご存じ大ヒットとした「シクラメンのかほり」は、1975年4月にリリースされ布施明が歌い、レコード大賞にも輝いた。作詞作曲はシンガーソングライターの小椋佳で、彼がまだ銀行マンだった頃、客先で休憩中に見た自分には馴染みのない花だったシクラメンにヒントを得て作り出したもの。
ところがこの頃のシクラメンには香りがなかったのです。この花の原種には香りがあったそうですが、花の色や大きさ、咲く花の数、寒さへの強さを長年選別して育てた結果、香りを失ってしまったのです。
この曲がヒットしたことで、シクラメンの香りに要望が寄せられ、香りのあるシクラメンを作ろうとシクラメン農家や育種家らの手によって、花に香りのあるシクラメンが作りが始まりましたが、非常に困難なことだった。
そんな中、埼玉県農林総合研究センター園芸支所(現園芸研究所)がバイオテクノロジーを用いて、種間交雑を繰り返し、いわゆる「芳香シクラメン」が誕生することとなる。
シクラメンの品種
第一世代の3品種
- 「孤高の香り」(紫)
- 「麗しの香り」(ピンク)
- 「香りの舞い」(濃紫)
親品種と花色の異なる花色 - 「天女の舞」(サーモンピンク・麗しの香りの変異)
- 「みやびの舞」(赤紫・香りの舞いの変異)
- 「絹の舞」(白・孤高の香りの変異)
が生み出された。
それでは一体、この曲の「かほり」は何だったのか?
一説によると、作者の小椋佳さんが自分の妻の「佳穂里」(かほり)に宛てた愛の賛歌であり、美しいシクラメンを妻に見立て、その名を付けたと推測する説ですが、真偽の程は定かではありません。
心を癒してくれる「シクラメン」を飾り、優しく優雅な時を過ごしましょう。
参考:かぐわしき植物たちの秘密(田中修・丹治邦和著)、Wikipedia、