経験を活かすにはプロセスが大事
経験からでた思い込み
何かを判断をするときに、今までの経験がとても役に立つというのが一般論ですね。
ところが経験はいつも教師になってくれるとはかぎらない。
自分の知識を過大評価してしまうのは、知っていたこと、もしくは知りえたかもしれないことを過大評価するからです。
たとえば、こんな話をよく聞きますね
あなたは、サッカーの大のファンで今この試合で今シーズンの優勝が決定する大事な一戦であるとします。
両チームともに無得点のまま、残り時間が3分という時に、あなたの応援するチームにペナルティーキックが与えられた。
サーっと勝利の予感に胸ふるわせながら見ているあなたの目の前で、実力のある人気選手がペナルティーマークにボールを置き力いっぱいキックした・・・。
「えっ!!」
一瞬おいてあなたは絶叫する。
「やるだろうと思っていたよ!」
引用:経済は勘定で動く(マッテオ・モッテルリーニ著)
これから起こることを予測することと、すでに起こったことを解説するのでは、大違いですよね。
誰だって後から解説することはうまくできるし自信も満々です。
後知恵
私たちには過去の出来事に意味を与え、それ以前の状況から避けようもなく生まれたのだと考えるという、特殊な能力がある。
前もって知っている情報があったのだから、すでに起こった事も予測できたはずだと、まちがって思い込んだりする。
このように「後知恵」という後ろ向きの姿勢から出てくる判断のバイアス(ゆがみ)は、カーネギー・メロン大学のバルークフィッシュホフが各種の実験で明るみにされている。
プロセスが重要
会社の会議などで経営者や上司を前にして分析や経過・結果報告の発表をしたときに、「それなら前からわかっていたよ」と一蹴されることはあなたにも経験があるかもしれません。TVドラマのシーンでもよく見かけます。
ここにたどり着くまでの努力だとか報告書のまとめがどれほど優秀であるかなどには、いっさい関係ないことになります。
あまりに的確なレポートであればあるほど、わかりきったこと事であるように思えてしまうのですね。
わたしたちは、専門家にハッキリ指摘されてもなかなか態度を変えない生き物です。
高潮の恐れがある海岸地帯に観光用施設を建設するために、マングローブの木を切り倒したりする。
たとえ1本のマングローブでも水に対する自然の防護壁になっているのにです。
あることに対して決定が正しいかどうかを知るには、その決定にともなう結果を考えるのではなく、その決定に至ったプロセスを考えることが大事です。
もちろん、結果は大事ですが、とかく結果にとらわれがちになり、決定する前の直面したリスクや複雑な状況を見過ごしてしまいがちになります。
過去から学ぶことは簡単で手っ取り早いように見えるけれど、予期しなかった過去の出来事なら、今ならよくわかることです。
しかし、偶発的なことを正しく見分けることは、とても難しいことです。
自分が選択した中身・内容がなんだったか冷静に振り返ることが必要ですね。
参考:経済は感情で動く(マッテオ・モッテルリーニ著)