日本中に「春告げ魚」の代表
春告げ魚
日本各地に春を告げる「春告げ魚」がいます。
春先からよく獲れる魚たちのことです
北には昔から鰊(にしん)でした。
昭和20年頃までは北海道西岸で産卵を迎えたニシンが大量に獲れ港はやん衆(北海道で働く漁師)たちで活気にあふれていました。
「石狩挽歌」の唄
下記のように唄われるように
海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると
赤い筒袖(つっぽ)の やん衆が騒ぐ
雪に埋もれた 番屋の隅で
わたしゃ夜通し 飯を炊く
あれからニシンは どこへいったやら
・・・・・・
引用
作詞:なかにし礼
作曲:浜圭介
歌手:北原ミレイ
環境の変化で激減し現在スーパーなどで並んでいるのはカナダやロシア、中国、ノルウエーなどからの輸入ものが圧倒的です。
ニシンを干したものを「身欠きニシン」といい、冷蔵や冷凍技術がなかった頃は大量に獲れたニシンを全国に運ぶ最高の手段でした。
北前船(きたまえぶね)が北海道と関西方面を結び、その身欠きニシンを使った「にしん蕎麦」は京都の名物料理として有名です。
ニシンは前述の身欠きニシンや数の子をはじめお正月料理や伝統料理などにも欠かせない魚でもあります。
ニシンに代わり最近の春告げ魚としては「メバル」で近海魚です。
筍が出まわる時期が美味しいといわれ、3月~5月が旬です。
煮つけにすると素直な味わいが増し刺身よりも焼き魚か煮魚が最高です。
ちなみに「メバル」の語源は目が大きく見張っているようであるため。
西の春告げ魚
「鰆」は魚辺に春と書き、文字通り春の訪れをしらせる春告げ魚として親しまれています。
古来、日本では冠婚葬祭に使われてきた魚で、煮物に焼き物にと懐石料理につきものの魚です。
鰆は、ほっそりとした体長1mほどの魚でサバ科の一種です。
西日本で珍重されてきた魚で、特に岡山で非常に好まれ「サワラの値段は岡山で決まる」といわれるほどです。
最近では温暖化の影響もあって東北、青森でも漁獲できるようになっています。
淡白な白身魚でほろりとした甘みがありたまらないです。
サワラの幽庵焼き は美味しいですよね。
成長とともに名前が変わる出世魚で
- ~50cm前後 サゴシ(サゴチ)
- 50~60cm前後 ヤナギ(ヤナギサワラ)
- 60cm 以上 「サワラ」
という。
上記の他にも春告げ魚には
- 兵庫県:イカナゴ
腹は銀色の体長15~20cmほどの小魚。
産地の浜で塩茹でされたものが「釜上げ」として多く出回ってます。 - 伊豆諸島:ハマトビウオ
伊豆諸島では「春トビ」と呼ばれています
ハマトビウオはトビウオの仲間の中で最も大きく50cmにもなります。
「ハマ」は幅(はば)を示し大きいことをあらわす。
滑空距離は、100mを超えることもある。
最近流行りの「あごだし」などのアゴは、トビウオのことです。アゴ=トビウオです
渓流釣りは3月に解禁することからアマゴやヤマメなども春告げ魚と呼ばれます。
昔から、春を待つ心と春に勢いよく集まってくる魚を見たり獲ったり食べたりして、春を感じていたのでしょう。
春告げ魚を食べて、あらためて春を感じてもいいもんですね。