誰もが柔軟な頭をもっていると勘違いしているアインシュテルング効果
アインシュテルング効果とは
人間が何かの問題を解決しようとするときに、その新しい問題に吟味して対処しようとしないで今までうまくいった解決策に固執してしまう傾向があること。
1942年に有名な心理学者のアブラハム・S・ルチンズの実験で発見された。
アインシュテルングというのはドイツ語で「心構え」を意味する。
たとえば
将棋や囲碁、チェスなどで定石と呼ばれる模範的なさし手が頭にあると、それよりもっと優れたさし手があっても、そこには行けなくなってしまう。
このようなことは、素人だけでなくプロと呼ばれる人にも、よくあることという
チェスのプレーヤーの身に起こるアインシュテルング効果の調査報告によると、プレーヤーとして一定のレベルに達すると過去の策に固執する傾向があまり見られなくなるという。
「オートパイロット」モードになるのを避けている。
アインシュテルング効果は柔軟な発想や
アイデア、解決策の邪魔をします。
認知バイアスのひとつ
できればない方がよい認知バイアスのひとつです。
誰もが、自分は他人の意見をよく聞き、柔軟な頭で考える事ができると思っているかもしれない。
しかし、実際には自分の考え方に固執し斬新なアイデアや価値観を退けてしまうという根の深い傾向を持っています。
たとえば
医者は胸部レントゲン写真を調べているときにも、専門外の病気を見落とすことがある。
科学者は自分の理論と一致しないデータは無視してしまう傾向がある。
陪審員はすべての証拠が差し出される前から有罪か無罪かにあたりをつけていて他の証拠を都合よく解釈しがちです。
このようにアインシュテルング効果はとても身近なところでも起こってしまう認知機能の罠とも言えます。
専門家といわれる人たちは問題の解決に向けて、あらゆる角度から分析し、あらゆる観点から解決策を考えます。
そこに、専門外の方から考えもしなかった革新的な解決策を突然発見するものです。
これは、ある学問・知識に極端に精通してしまうと今まで学んできたことや経験、実例によって解決策を見出し、独創性がなくなるからなのです。
英語のことわざのように
「既知の悪魔の方が、知らない悪魔よりもマシである」
もし”どちらも災難”な選択をしないといけないとしたら、まだなじみのある災難のほうがましである
という意味で、このようなう考え方になるということです。
しかし、すべて変化に富んだ考え方がいいわけではありません。
柔軟な発想を邪魔するアインシュテルング効果を防ぐことが大事になります。
アインシュテルング効果を防ぐ方法
- 第一に浮かんだ解決法を捨てて、もっと違う考え方がないか角度を変えてみる。
- 別の分野の人に参加・コラボしてもらったり話を聞いてみる。
- 経験が邪魔してないか、頭が柔軟になっているか常にチェックする。
- しばらく別の作業などでリフレッシュして視点を変えてみる。
- 特に集中的に考えた後は散歩などが効果的で、ポッと別のアイデアが浮かぶものです。
- ”そんな簡単なものではないよ” と目線を変えず、水平思考で考えましょう。
人の「考え方」「心の働き」の背後には認知バイアスが働いている可能性が高いといわれています。
認知バイアスをよく理解することも大いに必要です。