チェンジ・ブラインドネスは目の錯覚か

チェンジ・ブラインドネスとは
動画サイトでチェンジ・ブラインドネスと入力すると、たくさんの動画が出てき
ます。
ひとつの有名な動画では、
白いシャツを着た3人の男女と黒いシャツを着た3人の男女が同じ色のシャツの人同士でボールをパスし合っている。
実験に参加した人は、白いシャツのチームが何回ボールをパスしたかを数えることが課題です。
よく注意して見ていないと数え間違いをしてしまいます。
動画を見終わると、ここで質問です。
「ゴリラはいましたか」
エッ! と一瞬なにをいっているのか理解できません。
そこで、もう一回、今度はパスの数を数えないで動画を見てみます。
するとゴリラ(着ぐるみ)が画面の右から左にゆっくりと歩いていくのが見えます。
しかも、中央に来ると胸をドコドコと叩いて、いわゆるドラミングをしています。
この動画をみてこのことに気づかなかった人はビックリ仰天してしまうということになります。
この実験で、約半数から2/3ぐらいの人たちが気づいていませんでした。
【URLをのせたいのですが、違反となるので「ゴリラは見えますか」で検索してみて下さい】
これを非注意によるチェンジ・ブラインドネスとよばれています。
他にもたくさんの実験動画があり、どれも変化に気づかないことが多いのでおどろく。
見える範囲は少し
実験からわかることは、我々の注意の範囲はとても限られている。
我々はあることに集中してしまうと、別のことには注意を向ける事ができなくなり注意を向けていないところでは相当の変化が起きてもそれに気づく事ができない。
それならば、注意をしていれば変化に対応できるのだろうかというと、残念ながらそうではない。
チェンジ・ブラインドネスは注意を向けていても生じてしまう。

画面切り替え型のチェンジ・ブラインドネス
上の2枚の写真をみて違いはハッキリと分かると思いますが、これを交互に提示されると、この違いを見つけることは困難になる。
写真の中央部分にあるエンジンが左側にあるが、右側にはない。
このことに気づくのに10秒以内にわかるのは、約5%ほどしかいない。
30秒見せても半数ぐらいの人は違いに気づかない。
我々は明らかな変化=チェンジがあるにもかかわらず、そのことに気がつかない=ブラインドなのです。
僕はよく言われますが「お前の目は節穴か」ってね、これで皆も節穴だということが分かった。
視覚情報記憶の少なさ
視覚情報を貯めておく場所は視空間スケッチパッドと言って、その容量が極めて少ないことが挙げられる。

視覚情報記憶
だいたい3~5程度の情報しか保持できないとされている。
たとえば
テレビのリモコン、
マジックペン
ワインオープナー
これらがどこにあるのかを覚えているだけでこの容量は一杯になってしまう

マジックペン
また、それぞれのリモコンの位置、マジックペンの色、ワインオープナーの形状なども情報となる。
これらの光景を一瞬に見せられ、後でそれらの色や配置もふくめて再現することは不可能だということです。
人間の視野は約200度程度といわれています。

人間の視野
しかし、はっきり認識できるのは文字を読む時などの中心窩(ちゅうしんか)と呼ばれる、たった数度の角度内のものだけです。
約60㎝先の数㎝程度のことだからチェンジ・ブラインドネスのような課題では、目を頻繁に動かしていなければ場面のどこが違うかを精査することができない。
この目の移動のことはサッケードと呼ばれていて、このサッケードの最中は視覚情報の処理はまったく行われないということです。
チェンジブラインドネスの研究によって以下のようなことがわかっています。
- 変化する対象物は、中央に近い位置ほど気が付きやすい。
- ガチャガチャしている画像より、情報量が少ない画像のほうが、変化に気が付きやすい。
- 背景と変化の対象物は、同系色だと気がつきにくく正反対に位置する補色の関係にあるほうが気が付きやすい。
- 左側にある変化は気が付きにくい。
我々の視覚の情報というものは、いい加減で的確な情報を見のがしてしまいがちになります。気をつけましょう。
参考:認知バイアス(鈴木宏昭著)