フランス生まれの電動タイヤでパリ市長の計画
フランスの首都パリ
人口は中心部で、200万人を超える世界有数の経済都市であり、世界中から観光客が訪れる観光地でもある
そのパリで、自動車に起因する大気汚染で年間約3,000人が命を落としていることをご存じでしょうか。
パリ市長が「都市計画」を発表
以下、IDEAS for GOODより引用
パリ市長のアンヌ・イダルゴ市長は2024年までに誰もが車なしでも15分で仕事、学校、買い物、公園そしてあらゆる街の機能にアクセスできる都市を目指すと宣言した。
2020年3月に行われる市会議員選挙での再選に向け、大気汚染や気候変動への対策として「自転車で15分の街」という新たな都市計画を提案したのだ。
パリは交通機関が発達した街ですが老朽化したシステムや、トラブルで電車にしばしば遅れが生じるため、多くの人が今でも車で通勤している
パリで働く人の半数以上は通勤に45分を要しており、調査によると市民は給料を下げてでも、通勤時間をカットしたいと考えているという。
今回発表された都市計画は、自転車で15分の街にするために、パリの大通りの中でも渋滞しがちな交差点を歩行者天国に変える。
2019年の報告によると、パリには8万3000の路上駐車スペースがあるが、イダルゴ市長はそのうち6万を撤去し、公園や緑地、畑を敷設するという。
また、学校の近くの通りも子供の登校時・下校時には一時的に車両走行禁止とし、公共サービスが受けられ住民が集まる場所にもなるコミュニティスペースも市内に設ける予定だ。
この都市計画は、スマートシティについて研究するパリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学カルロス・モレノ教授によって提案された「セグメント(区分)化された都市」のアイデアに基づいている。
モレノ教授は「遠くから都心に通勤するような都市設計はもう過去のもの。都市のビジョンを、根本的に変えていきたい」と考えている。
「自転車で15分の街」計画は大気汚染による健康被害だけでなく、市民が長時間の通勤によって抱えるストレスも改善しうるものです。
「電動タイヤ」
以上のような都市計画を背景に2019年にフランスで創業され徐々に広まりつつある製品が「Teebikeの電動タイヤ」です。
このタイヤは電動モーターによって回転する仕組みで、どんな自転車にも前輪として簡単に装備することができる。
電動自転車は従来よりあったがモーターが重く、メカニズムは複雑で価格も高いなど、なかなかとっつきにくい感があります。
Teebikeの電動タイヤはそんなイメージを払拭する。
パリ市内の使われなくなった古い自転車を回収し、電動自転車に変えている。
電動タイヤの特徴
- タイヤのモーターにはBluetoothが付いていて、ユーザーはスマートフォンからの操作で3段階のスピード調整ができる。
- 最高速度は25km/hで走行することができ、エンジンを切れば普通の自転車として使うこともできる。
- バッテリーは付属の充電器をタイヤに接続することにより、4時間以内にフル充電が可能です。
- 走行中は天候、路面状況、ライダーの体重などによるものの、充電が満タンであれば50~80kmは続けてモーターが稼働する。
Teebikeは、自転車修理を手軽にすることに特化した別の企業 Cyclofixと業務提携しており、現状フランス国内のメンテナンス体制は整えられている。
価格は電動タイヤが795ユーロ(約103,900円)バッテリー交換費用は200ユーロです。
交通手段としての自転車利用を促進する動きは世界中あちこちで年々高まっている。
そんな中、共同創業者であるローラント・デュリユ氏が中国を旅した時に、中国では一昔前に流行したシェアサイクル事業の撤退を受けた。
使われなくなった1万台以上の自転車がまとめて置かれている場所が複数存在する。
その衝撃的な光景を目の当たりにした彼は、同じ自転車フレームを長く使う一つの手段として電動タイヤの開発に着手した。
「自転車で15分の街」計画は、大気汚染による健康被害だけでなく市民が長時間の通勤によって抱えるストレスも改善してくれ、二酸化炭素の放出もなく事故も激減することだと期待されています。
人口過密な大都市東京はどうする。
参考:IDEAS FOR GOOD、Forbes、