生物多様性の世界的な問題点
生物多様性(Biological Diversity)」とは
地球という環境そのものの中で、そこに息づくすべての生命を意味する言葉が「生物多様性」です。
簡単に言うと、地球上の生物が、バラエティに富んでいること…つまり、複雑で多様な生態系そのものを示す言葉です。
地球上の生きものは40億年の長い歴史の中で環境に適応し続けてきました。
生きているものたちは、すべて直接的、間接的につながり、支えあい、壮大な命の循環を作り上げている。
この地球上には、確認されているだけでも約175万種、未発見のものを含めると500万3000万種ともいわれるほど多くの生物が存在している。
これらの生きものはどれを取ってみても、自分一人、ただ一種だけで生きていくことはできません。
多くの生命は他のたくさんの生物と直接かかわり、初めて生きていくことができるのです。
この生物多様性という言葉は、biological(生物の)とDiversity(多様性)の2語を組み合わせた造語として1985年に生まれた。
その後、地球環境への危機感、特に絶滅危惧種の増加への不安から、多くの政治家、科学者、活動家、市民に使われるようになった。
生物多様性条約
1992年に、世界全体で生物多様性の重要性の確認と生物多様性を保存していくための資金・技術力、情報の交換、調査研究を各国で協力しておこなう「生物多様性条約」が国連で採択された。
これには、日本を含む193カ国とEUが締約国となった。
2010年10月には、愛知県で行われたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)には、世界各地から180の締約国と関係国際機関、NGO等のオブサーバーも含めて計13,000人以上が参加して開催された。
日本の対応
日本では環境省が「生物多様性基本法」を平成20年6月施行した。
引用:環境省
これには、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたって享受できる自然と共生する社会を実現し、地球環境の保全に寄与すること」を目的とし、地域の生物多様性の保全、野生生物の種の多様性の保全、外来生物等による被害の防止などの保全策や、持続可能な利用に重点を置いた施策を行っている。
生物多様性の背景にある、20世紀後半から、世界の各地、とりわけ自然が豊かに残っていた途上国地域を中心に、急激に進み始めた、さまざまな自然破壊が、世界全体をも脅かしかねない「環境問題」からでした。
環境破壊
例えば、砂漠化は恐ろしいスピードで進んでいます。
そのスピードは、1秒間に1900m2 で、1年間に四国と九州を合わせた面積(東京ドーム128万個分)の緑の土地が失われているのです。
陸地では大気汚染による酸性雨が降ると森林が衰退し土壌汚染され、海水も酸性になってしまったり、温暖化により海水の温度が上昇すると珊瑚が枯れてしまいます。
現在は、世界規模で「緑化」の輪が広まってきました。このつながりをもっと広めて行きたいですね。
地球上の自然環境は、生きていく上で欠かせない清浄な水や大気、もちろん動物、植物、土などの多くの要素が含まれ、様々な資源が生み出されている。
そして、生物多様性の価値は人類にもたらす恩恵は数知らずさまざまな分野にあります。
医療を支える医療品の成分には、5万種から7万種もの植物が貢献しています。
また海の生物から抽出されて作られた抗がん剤は、年間最大10億ドルの利益を生み出すほど利用されているし、世界の薬草は2001年に1年で430億ドルに達しているという。
生物多様性条約が作られた時の原文にはこのような文章がありました。
「人類が他の生物と共に地球を分かち合っていることを認め、それらの生物が人類に対する利益とは関係なく存在していることを受け入れる」
この文章は、最終的に削除されてしまいましたが、これは人類が、地球上の生命の一員として、「あらゆる地球上の生命のこと」だという事を決して忘れてはいけない事だと思います。
ひろい意味で、地球ということ、その未来ということ、自然環境ということ、直面している問題など個人も取り組まなければいけませんね。
参考:IDEAs FOR GOOD、WWWF JAPAN、環境省