無意識にあやつられる「プライミング効果
「プライミング」
脳の自動システムがもつ、ちょっと不思議な働きのことをいう。
ほんのわずかな影響を受けると、特定の情報を思い出しやすくなることが研究で明らかになっている。
アイデアや概念をそれとなくほのめかすだけで、連想が誘発され活動が促進されることがある。
このような「プライム(先行刺激)」は社会的状況で起こり、驚くほどに強力な効果を生むことがある。
人々の注意は他人の行動や考え方に向けられている。
これと密接な関係がにあるという「プライミング」の力が明らかになっている。
ちょっと固いかもしれませんが、日常的で結構面白いので取り上げました。
このような調査を試みると、被験者はたいていある行動をする可能性があるかどうか質問をされる。
例えば
- 投票する
- 減量する
- 特定の商品を買う
などです。
調査は単純に行動を列挙したにすぎず、決して行動に影響を与えたいのではない。
しかし、社会科学者はここから、こんな奇妙な事実を発見しているのです。
「単純測定効果」です。これは、
何をしようとしているのか質問されると、答えに沿った行動を取る可能性が高くなるという発見です。
数々の施策
- 選挙戦略げは、支持者を選挙の投票に行かせるには
A:投票の大切さを強調する。投票jに行きやすくする
B:選挙の前日に投票するつもりかどうか質問する
Bで投票に行く確率が25%も高められた。 - 携帯電話や自動車など、商品の新規購入を増やすには
(全米の代表的サンプルの4万人以上に簡単な質問をした)
今後、6ヶ月以内に新車を買うつもりですか
すると、購入率hさ35%上昇した。 - 健康を増進する手だてをとるように促したい
人々の意向を測定することで大きな変化が見られる
次の週に何回デンタルフロスを使ってはの間を掃除しますか
すると:フロスを使う回数が増える。 - 次の週に高脂肪の食品を食べるつもりかどうか質問をすると
脂肪分の多い食品を食べる量は減る。
これは、「ナッジ」と同じですね。
ナッジは、人の心理や思考に合わせて、難しいことや難問をそっと良い方向に示唆することをいう。
どうするつもりであるかを質問することで与えられるナッジは、いつ、どのようにする予定であるか質問することで強化できるのです。
特定の物を認識できるようにして顕著性を高めることによって、人々の行動に影響を与えることがわかっている。
ブリーフケースや会議室のテーブルといったビジネス環境を特徴づける物は人々の競争性を高め、強力性、寛容性を低下させる効果を生む。
匂いも重要なポイントで、万能洗剤の匂いを嗅ぐと、人は食事中に周囲をきれいにするようになる。
また、見知らぬ人に対する人々の判断は、アイスコーヒーを飲んでいるか、ホットコーヒーを飲んでいるかに影響される。
アイスコーヒーを与えられた人はホットコーヒーを与えられた人に比べて、他人を利己的、社会性がない、そして、冷たいと考える割合が高い。
このことはまったくの無意識のうちに生じることです。
あなたの家のなかに「なぜ買ったのかわからない」物はありませんか。
きっと、無意識のうちに、何かのきっかけで買ってしまったのでしょう
「プライミング効果」の広告はあちこちにありますから。
参考:リコー、実戦行動経済学(リチャード・セイラー+キャス・サンスィーン著)