伝統的な保存食 鰹節・かつおぶし
伝統文化の鰹節
「世界一かたい」食べ物はな~んだ?
そして、「世界一薄い食べ物になるものはな~んだ?」
昔からの日本の保存食である「鰹節」です。
毎日、いただくみそ汁、その汁物から麺類、煮物などのたくさんの和食の下地となる日本の「だし汁文化」を支えているのが鰹節です。
木材のような見た目そのままの非常に堅い食べ物でありながら、削り出すと向こう側が見え、空気や熱で揺らぐほど薄くなります。
子どもの頃に、母親に言われて鰹節を削りました。
かなり小さくなるまで削り、その小さくなった鰹節を湯煎してだしを取り、残った鰹節をかんだりしゃぶったりして食べました。
削り節から抽出された味は繊細で味わい深く、和食の原点となるだし汁を始め、あらゆる料理に広く使われ日本の食文化をになっています。
カツオ自体は古くから日本人の食用として利用されていました。
鰹節は、縄文時代の晩期(紀元前4000年頃)から鰹を食べていたことが、太平洋沿いの大洞貝塚(岩手県大船渡市)から出土した大量の鰹の骨からわかった
鰹節の起源
日本最古の歴史書「古事記」には、「堅魚」(かたうお)が登場している
引用:Japan house
起源は「煮堅魚」などが税の代わりに納められていました。
この「煮堅魚」が、素干しにして魚を保存する方法として生まれた鰹の加工品の元祖であり、鰹節の起源と言われています。
鰹節の栄養価は高く、室町時代には、武士が戦の時に携帯し、飢えをしのぐ際に食べて(噛んで)いたと言われている。
現在のような、燻して乾燥させ、鰹の水分を除去していく鰹節の製法(焙乾法)は、1600年代後期に紀州印南の漁師・角屋甚太郎が発明したと言われている。
その鰹節の製法(焙乾法)を土佐藩が長い間土佐の秘伝として守られてきた
1700年代初頭に漁師や鰹節職人によって各地に伝播され身近なものになった。
鰹節づくり
現代の鰹節づくりは船の上から始まります。
水揚げした鰹を船上で急速冷凍し、工場に運びます。
工場で、鰹の大きさや質、脂の乗り具合を見極めながら解凍していきます。
そして
生切り:かつおの頭と内臓を除去して3枚におろします。
籠立て:煮籠(にかご)に、丁寧に並べていきます。
この作業で節の形が決まるので、大切な作業です。
煮熟(しゃじゅく):籠立てした煮籠を、75~98℃の湯で60~90分程煮込みます。
骨抜き:煮熟を終えた後は皮・ウロコ・皮下脂肪・汚れなどを取り除きます。
さらに1本ずつ手作業で身を傷つけないよう骨を抜いていきます。
焙乾 (ばいかん):焙乾とは燻(いぶ)すことで、何回も繰り返し行います。
薪にはナラ・クヌギ・サクラなどが一般的に使用されます。
これで「荒節」(あらぶし)が完成します。
これからは、「枯節」(かれぶし)の作成作業です
- 表面研磨:形を整え、カビがつきやすいように表面のタール分や滲み出た脂肪分を削り落とします。削り上げた節は「裸節」と言います。
- カビ付け・乾燥:裸節に、優良鰹節カビを植菌し温度、湿度が管理された室(むろ)で貯蔵し、
カビを節全体に付けた後、日干・乾燥機等で干す工程を繰り返すことで鰹節の
水分をカビが均等に吸収して乾燥してくれます。
またカビ付けは微生物の働きにより発酵・熟成する効果があります。
これで「枯節」の完成です。
- 削り:荒節・枯節を削り機で薄削り・厚削り等に削ります。
まとめ
- 荒節:製造期間は20日間前後
鰹を煙で燻した時の香りが強く残り、しっかりした味わいです。
適度な酸味と深みのある出汁がとれます。 - 裸節: 製造期間は2~3ケ月
荒節を表面加工したものが裸節です。 - 枯節: 製造期間は6ケ月
裸節に2回以上カビ付け、乾燥させたもの - 本枯節: 裸節に2回以上カビ付け、乾燥させたもの、この工程を4~5回繰り返した最高級品。
「勝男武士」(かつおぶし)と書けることから、戦国時代より鰹節は縁起物とされてきました。
現代でも結納や結婚披露宴の引き出物にも使われることがあります。
例えば、「鰹夫婦節」。
女節(雌節)、男節(雄節)を合わせられることから、鰹節は仲良い夫婦の象徴とされてきました。
現代では風味調味料や麺つゆ、ふりかけなど、鰹節を原料にした多くの加工食品が生まれています。
美味しい和食文化を味わいましょう。
参考:Wikipedia、Japan house、全国削節工業協会