インスタに「写ルンです」で撮影の投稿が増えている

「写ルンです」をご存じですか、昭和61年(1986年)に発売されたレンズ付きカメラです。
冨士フィルムから発売され瞬く間に、爆発的ヒットを記録しました。
子供のころは、カメラは高級品で、どこの家庭でもカメラが1台あるということはなく、貴重なものでした。
そんな中で発売された「写ルンです」は、24枚・36枚のフィルムカメラで、俗称は「使い捨てカメラ」です。

「写るんです」
操作は簡単で、1枚とるたびにフィルムを親指でダイヤルを回して巻き、シャッターを切るだけの繰り返しです。カウンターには残りの撮影可能枚数が表示されます。
もし、暗い時にはストロボをレバーで上げて使います。
すべての枚数を取り終わったら現像・プリント・データ化するためにDPE店に持っていきカメラごと渡して現像されるのを待つだけです。フィルム以外は回収されます。
時代の流れで、デジタルカメラが登場し、さらにはスマートフォンの普及で一時はレンズ付きカメラは店頭から消えてしまいました。
かつて大ヒットした「写ルンです」は、最盛期(1997年)には年間 9000万本にも届く勢いでしたが、その後減少を続け、2012年にはピークの20分の1以下の430万本まで減少した次第に売れなくなっていきました。
ところが、2015年夏頃から再び売れ始め、販売台数が増加に転じたというからビックリ。 とくに、10~20代の、これまでレンズ付きフィルムを使ったことがない世代の間で人気があるという。
昨今はインスタに「写ルンです」で撮影された写真の投稿がふえてます。
なんと、売上は前年の5倍に増えました。
再びヒットのきっかけは
きっかけは、若い女性たちが「写ルンです」で撮った写真をSNSにアップしたことでした。
「写ルンです」で撮った写真は、デジカメやスマホの写真と違い、フィルムカメラ独特の
光の感じがレトロで、「かわいい」「おしゃれ」と多くの人に共感されました。
さまざまな人気がある理由の中でも、圧倒的に評価された人気は「良い雰囲気に写る」でした。
そして、多くの若者がスマホに慣れ親しんでいる人ほど簡単に撮れてオシャレに、ノスタルジックな感じになることが新鮮で魅力を感じているようです。
「私もこんなおしゃれな写真をSNSにアップしたい」そんな気持ちになって「写ルンです」は、再び売れるようになったのです。

レトロ調
ただし、レンズ付きフィルムは、プリントで像を出しやすいというカラーネガフィルムの特性を生かした製品なので、露出をどうこうできる機構はなく、ピント位置も固定です。
奇麗に写そうと思うなら、写ルンですが想定している条件で撮影することを心がけた方がベストです。
ベストの条件
- 日中の明るいところで使用する
- 1.5メートルの距離で撮る
- 暗いところでストロボを使うときでも2メートルくらいまで
この条件を満たしてとればベストの綺麗さで撮影できます。
カメラに詳しい人のために、現在販売されている「写ルンです・シンプルエース」の仕様を記しておきます。
- ISO400フィルム
- 焦点距離32mmレンズ
- 絞りF10固定
- シャッター速度は1/140秒
- 撮影距離は1メートル~∞
- ストロボの有効範囲は1~3メートル
で、なるほどとピンと来た人もいらっしゃるのでは。
SNSの「インスタグラム」では、写ルンですで撮影された写真が4万件以上アップされているとのこと。わざわざスマホではなく写ルンですで撮影した写真の独特の雰囲気を楽しむ人がいかに多いかがわかります。
すべてがデジタル化されつつある今の時代、音楽の世界でもレコードやテープレコーダーの人気が復活して、昔ながらのアナログ感にあらためて魅力を感じているのです。
さらにこれからも、アナログ回帰やノスタルジック(郷愁を感じる)などへの関心も深まるかもしれません。
参考:FUJIFILM、Watch、Business Journal