世界のオリエンタルハーブの代表「わさび」
独特の香りや風味をもち、暮らしに役立つ植物を総称して「ハーブ」と呼びます。
日本にもいろいろなハーブがあります。市販されている身近なハーブは、シソ、ミョーガ、ベニタデ、ミツバ、ワサビ、サンショウ、ショウガ、トウガラシ、ユズなどがあります。
山菜として流通している和ハーブは、ワラビ、ウド、ゼンマイ、コシアブラ、アケビ、ノカンゾウなどになります。
ワサビ・山葵
原産国は日本で昔からある「ワサビ」は、爽やかな冷涼な気候と日陰を好み、日本の渓谷の清流に育み、すりおろしたワサビは、寿司や刺身などの料理にピッタリ合います。
ワサビの葉っぱの形は、江戸幕府の将軍であった徳川家の家紋に使われているミツバアオイ(三つ葉葵)に似ていることから、山で育つアオイという意味で「山葵」という字が当てられています。
ワサビは捨てる部分はなく、葉から白根の先まで利用できます。
このワサビの学名は「Wasabia japonica」とされることが多いですが現在では「Eutrema japonicum」が正しい学名です。
英語名は「Wasabi」ですが、よく似た品種に「ホースラデイッシュ」があり、それと区別するためにワサビを「ジャパニーズ・ホースラデイッシュ」と呼ばれることがある。ホースラディッシュのことは、セイヨウワサビとも呼ぶ。
多く使われている名称は「ワサビア ヤポニカ」です。ワサビアはラテン語化したワサビ属のことで、ヤポニカは「日本生まれの」を意味する言葉です。
ワサビの辛味を味わうには、すりおろしていただきます。それは、すりおろさないと辛くないからです。
ワサビの刺激的な香りと辛味を味わうには、多くの汁が出るように、なるべく丁寧にきめ細かくすりおろすとワサビの香りと辛みがよく出てきます。
そして、刺身を食べる時には、ワサビと醤油を使いますね。なぜ、辛いワサビと辛い醤油をかけるのかというと、ワサビの辛味の成分が醤油と合わさると約2倍に増加するからです。
辛さの実験
このことは、1999年に椙山徐学園大学の研究発表で明らかになっています。
そして、研究報告の中に根本の中でも「葉っぱ側の半分」より「根っこ側の半分」では、どちらが辛いと言ったら「根っこに近い部分」で2倍以上も辛さ違うと報告されました。
ワサビのピリッと効く辛み成分(アリルイソチオシアネート)は、「揮発」する性質があるため口に入れると、口から鼻腔に伝わり、鼻にある「痛みを感じる感覚器」を刺激します。
それで、鼻にツーンときて痛くなるのです。
ちなみに、トウガラシなどの辛み成分(カプサイシン)などは食べても鼻が痛くなるようなことはありません。トウガラシの辛み成分は揮発しにくいからです。
ワサビの香りと辛みは食用だけではなく、抗菌作用がありカビの繁殖や細菌の増殖を抑制する抗菌効果があると報告されています。
他にも、胃がん細胞増殖抑制成分が含まれるなどさまざまな研究が発表されている。
抗菌作用に実験は、私も実際にやってみました。透明のプラスチックの容器を2つ用意し、1つには食パンだけを入れ、もう一つの入れ物には食パンとワサビをおろして別な容器に入れて比べてみました。
確か5、6日ステからだと思いますが、食パンだけを入れた容器にはパンがカビが生えてきました。
ワサビを入れた容器のパンからはなかなかカビが生えてこなかったのです。
この効果を応用したのが、ワサビの成分をシートに練り込んだ「ワサビシート」で駅弁やスーパーの弁当・食材、惣菜、おせち料理などの日持ちを長くするのに使われています。
ワサビは、寿司、そば、刺身、茶漬け、うなぎの白焼きなど日本料理には欠かせません。
洋食のローストビーフやスパゲッティ、牛肉、フランス料理のソースなどにも使われていますね。
寿司屋さんでワサビだけを直接ネタに乗せ、軽く醤油をつけて食べるのがうまいと池波正太郎が言ってました。お試しあれ!
参考:かぐわしき植物たちの秘密(田中修・丹治邦和著)、Wikipedia、