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神代の時代からの日本神話がルーツの「結び」とは

因幡の白ウサギ」など神話の世界が載せられている日本最古の歴史書「古事記」。
その古事記には、神代に成った「大八洲・おほやしまぐに」(日本国の古称)の天地が形造られた始まりの時のことが記されています。

天地初めて発し(ひらけし)時、高天原(たかあまのはら)に成れる神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、次に高御産巣日神(たかみムスヒのかみ)、次に神産巣日神(かむムスヒのかみ)。この三柱の神は、みな独神(ひとりかみ)と成りまして、身を隠したまひき。

天之御中主神

この中の2柱の神名に「ムスヒ」が見えます。いったいこの「ムスヒ」とはなんでしょうか。

「産霊」・ムスヒ

「ムスヒ」は、「産霊」と書き産霊の

  • 「産」はムス(生み出す)
  • 霊」はヒ(心霊の神秘的な働き)

の意味があり、古来から神道においては、重要な観念として語り継がれています。

ムスヒ(産霊)とは「結びつくことによって神霊の力が生み出される」ことと解釈されています。

また「天地万物を生成する霊妙な力を持つ心霊」とも定義され、いかに「産霊」が大事にされてきた観念なのがわかります。

デジタル大事典によると

産霊:読み方:むすひ
《「むす」は生じる、「ひ」は心霊の意。後世「むすび」とも》
天地・万物を生み出す心霊。

そして、結びの意味として

  1. ひも状のものを結ぶこと。また、結んだ部分。「—がゆるい」「男—」
  2. 人と人とを関係づけること。縁を結ぶこと。「—の神」「縁—」
  3.  文章や相撲の取り組みなどの、終わり。結末。「—の言葉」「—の大一番」
  4. 握り飯。おむすび。
  5. 係り結びで、係助詞に応じて語尾を変化させた文末の活用語。
  6. →係り結び⇒和集合(わしゅうごう)

引用:weblio辞書

神様からつなげられたこの「結び」という言葉の観念は、縄やヒモを結ぶそのもの。

それが匣(はこ)に結ばれれば魂匣となって魂を結び、木に結ばれれはタカギムスビの神となり、さらには注連縄(しめなわ)や神籬(ひもろぎ:神道において神社や神棚以外の場所で祭祀を行う場合、臨時に神を迎えるための依り代となるもの)となって、その一帯の場所に霊力を与えるといったもの。

現代でも「繋げる」「まとめる」「創る」「固まる」「締める」などのようなさまざまな意味があり、「人と関係をむすぶ」「契りをむすぶ」といったご縁や心をつなぐ意味でも使われますね。

タカギムスビの神

神社仏閣では、お馴染みの ”おみくじ” を願いを込めて木の枝に結びつけたりします。
お祝い事などで使われる ”水引” なども人と人を結びつけるという意味が込められている 。

日常生活の中には、たくさんの「結び」がひそんでいるのです。

日本では、成年に達する男女を「ムス・コ」「ムス・メ」と呼ぶ習慣がありますが、これはムスビの観念が成長過程の男女にもあてはめられて、「息子・ムスコ」「娘・ムスメ」となった。

このようにして、ムスビは「産霊」の全現象をひとつなぎにするキーコンセプトとなっていきます。

八百万の神が万物に宿っていると考えられていた日本では、結び目までも神が宿っていると信じていました。古来の日本は、森羅万象の全てが信仰の対象だったことがわかります。

参考:noteWeblio辞書、空海の夢(松岡正剛著)

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