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悪霊を追い祓う神事だった「四股」郷土代表の「しこ名」

お相撲さんが土俵に上がり片足を高くあげ、強く土を踏みつけることを「四股」と言います。

四股の由来

この動作は、地中の邪悪な霊を祓い大地を鎮める神事に由来するといわれてます。
作物の凶作が2年も3年も続くと昔の人は、地面の下の悪霊が悪さをして害を及ぼしているのだろうと考えていた。


そして、村相撲の大関(昔は最高位)が神社で四股を踏み奉納し、悪霊を追い払う退治をすることになったのです。

お相撲さんの腰の廻しの前の部分に稲穂をつけて「稲にいたずらしたら、こうだぞ」と大地を踏みしめた。
今もお相撲さんは廻しの前に「さがり」を挟んでいますが、その、さがりの始まりは五穀豊穣を願って稲穂をぶらさげたことだといわれれています。

四股の所作

誰でも一度はお相撲さんが四股を踏むところを観たことはあると思います。
ただ足を上げれば良いというのではなく、綺麗に膝を伸ばせる体制で上げていきます
まず両足を左右に開いて構え、足を左右,かわるがわるに高く上げる。このとき,手を太ももか膝に添え,力を入れて爪先から地を踏む。「力足」ともいう。

 

土俵では、仕切りをする前に、左右交互に三回、四股を踏みます
相撲の基本動作の一つですが、四股を基本通りに踏めれば十両に昇進できるといわれるほど、究めるのが難しいといわれてます。しかも美しくなくてはならないのです。

最近の力士を見ていても足を高く上げ体の姿勢を崩さずに綺麗だと思われる力士は少なくなった様に感じます。昔の横綱千代の富士関貴乃花関が綺麗だといわれ、最近では遠藤関が綺麗です。

千代の富士関

「しこ名」

また、「しこ名」は力士の名前です。
しこ名の「しこ」は漢字だと「」だといわれ邪気を払う人の名前という意味合いだったようです。
「醜名」は「醜い名」で対義語は「」です。そんな意味も当然あって自分の名前を謙遜する気持ちを表しています。
やはり力士は力強く大男のイメージがとても強かったのですね。

郷土の代表の力士

江戸時代には大名が郷土出身力士や強豪力士を抱えた事があり、「お抱え力士」と呼ばれました。
お抱え力士は、その藩のゆかりのある地名などをしこ名にした歴史があり、しこ名に出身地の山、川、海の名が多かったです。
力士たちにしてみれば、郷土の代表として、何がなんでも錦を飾りたくなり身が引き締まります。

昨今は外国人力士が目立ち、しこ名もさまざまです。

  • 琴欧州関:欧州ブルガリア出身
  • 戦闘竜関:アメリカ・セントルイスで育つ
  • 黒海関:黒海に面したジョージア共和国出身
  • 把瑠都関(ばると):バルト海に面したエストニア出身
  • 大砂嵐関(おおすなあらし):砂漠の多いエジプト出身
  • 阿夢露関(あむうる):アムール川が流れるロシア出身
    など、その土地にちなんだしこ名が多い。よく考えますね。

阿夢露関

日本の力士で読めないしこ名がありますね

  • 阿炎:あび
  • 阿武咲:おおのしょう
  • 翔猿:とびざる
  • 荒篤山:こうとくざん
    など、なかなか読めません。

また、地名や郷土の特徴だけでなく、師匠の名前をそのまま継いだり、部屋の出世名だったりもあります。
高見関などは、後援会のひとつに日本酒「日本盛」があり、それにちなむしこ名です。
今では、いろいろな思いをつめたしこ名が多くなりました。

その昔の力士はしこ名を自分の戒名としてとらえ、土俵の上でいつ死んでもいいように生きているうちにもらう戒名がしこ名だと、昔の相撲取りは「さむらい気質」でいたんですね。

参考:力士の世界(33代 木村庄之助)

 

 

 

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