日本だけ春分秋分の良き日の彼岸参り
一般的にお彼岸は、彼岸会(ひがんえ)という、先祖を供養し、自然の恵みに感謝し、善行を積む誓いをあらためて心に思い起こさせるための大事な行事です。
「彼岸」はサンスクリット語で「パーラ・ミター」=(波羅蜜多)「到彼岸・とうひがん」といいます。
到彼岸
これは川の向こう側を「彼岸・ひがん」といい、川のこちら側を「此岸・しがん」といい、この「此岸」から「彼岸」に渡る、すなわち到達することなのです。
また、彼方の岸(かなたのきし)の意で、そこにある理想郷をさし、目指す悟りの境地に到達する意味を込められて用いられることが多い。
彼岸会は聖徳太子の時代のころから始まったという説もあるくらいに、古くから伝わる大切な年中行事です。
大抵は彼岸の中日の、秋分の日、春分の日にお墓に詣でて弔います。江戸時代この方定着しています。
「源氏物語」に、しばしば彼岸の日が物語の中に設定されいる。
この中で彼岸の日はどれも「よき日」とされていて、平安びとたちとっても、彼岸はもっとも快い時期として意識されていたようです。
煩悩
「此岸は是れ世間、彼岸は是れ涅槃(ねはん)」で、この現世から、河が隔てる彼方の悟りの世界に至ろうとするが、河が象徴するのは、さまざまな煩悩で、その煩悩を滅するために実践しなければならない修行が6つあるといいます。
彼岸のサンスクリット語の Paramita(パーラ・ミター)の音訳すると「波羅蜜・はらみつ」です。
従って、煩悩を克服する6つの徳目を「六波羅蜜」といいます。
六波羅蜜
- 布施……親切:見返りを求めず他に慈悲の心を持って施しをすること。
また、施す人も、受ける人もそのすべて跡を残さない「三輪空・さんりんくう」(布施するもの、布施されるもの、布施する物を忘れるのこと)が大事です。 - 持戒……言行一致:戒律を守ること
尊い命をいただいたことに感謝して生活する。 - 忍辱……忍耐:屈辱や障害の苦しみに耐え、仕返しをしないこと。
さまざまな艱難辛苦を真正面から受け止め耐えること。 - 精進……努力:仏道に努力すること。
ビジネスでも同じことで、文字通り精魂めて進んでいくことです。 - 禅定……反省:心を静め統一すること。
「禅」も「定」も同じ意味で、心をひとつにすることです。 - 智慧……修養:真理を洞察する心を持つこと。
学習する知識と体験を繰り返し生活をしているが、それらのまだ奥にあるものが智慧です。
それらすべてがひとつになった中で生活をしている。
とても、素晴らしい教えですが、簡単にはいかないことも事実です。
しかし、たゆまない生活の中に、利点・欠点に気付き積極的に努力する心掛けが「彼岸」へと繋がることだと言えます。
彼岸は太陽が真東から姿を現して、真西に沈み、昼と夜の時間が同じとなる日のこと。
西方浄土のイメージを思い浮かべるには最高の条件と言えます。
ともあれ、お墓参りをして祖先の霊に祈りを捧げ、心がすっきりしたところで、昔ながらの「お萩」(ぼた餅)を食べてみても良いのではないでしょうか。
最近は、さみしいかなお彼岸にお萩のイメージがなくなりつつありますね。
参考:エーヴァム、仏教漢語(興膳宏著)