感覚過敏な人が「HSP」を理解して現代社会を生きる
「HSP」とは
「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略称で高感受性人間のことです。生まれつき非常に感受性が豊かで敏感な気質を持った人を指します。
環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、生まれ持った性質を言い、病気ではありません。
統計をみると人口の15%~20%と言われ、5人に1人があてはまることになります。
人間の気質と理解
「HSP」を認識している人は少ないと思います。事実自分自身も知りませんでした。
多分、このことで悩んでいるとしても自分の性格だと思っている人がほとんではないでしょうか。
まずはHSPは ”人間の気質” を表した言葉と理解することが大事です。
そうすることで十人に二人は自分と同じ気質を持っているんだと解釈し、同じ苦しみ、悩みを共有でき心強くなります。
このHSPは、アメリカの臨床心理学者エレイン・アーロン博士が1996年に出版した全米ベストセラーになった本の中で初めて使用されました(Aron, 1996)。最近では日本でも注目を集めています。
アーロン博士は、HSPの人たちは、他人より敏感な神経システムを持ち、自分の周りの微妙なことにも気がつくことで、刺激の強い環境に置かれるとすぐ圧倒されてしまうという特徴をもっている。
特にキーとなる特徴は、HSPではない他の80%の人達に比べ、より深く考え、より詳細に表現し関連づけることと言っています。
この本は、ほとんど口コミで広まり世界32カ国で翻訳されているベストセラーです。
アメリカの国内だけでもHSPは人口の15%〜20%を占める約5、000万人もいると言われ、その人達が広めたようです。
日本では「繊細さん」とも呼ばれている。
HSPかどうか
アーロン博士は、自分がHSPかどうかを確かめる方法として特徴的な行動を例にあげている。これは実際に被験者にインタビューする時に用いられる典型的な質問にもなっている。
- まぶしい光や、強い臭い、肌触りの悪い布、近くを通るサイレンの音といったものに容易に圧倒されてしまう。
- 短時間に多くのことを抱えるとあわててしまう。
- 暴力的な映画・テレビ番組を見ないようにしている。
- 忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋、もしくは一人になって刺激をやわらげることができる場所に閉じこもりたくなる。
- 生活する上で、動揺したり圧倒されるような状況を避けることを最優先にしている。
- デリケートで繊細な、香りや味・音・芸術作品がわかり、それを楽しんでいる。
- 豊かで複雑な内面世界をもっている。
- 子供のころ親や先生は、わたしのことを繊細あるいは内気だと思っていた。
引用:ハイリー・センシティブ・パーソン
HSPの特徴
HSPの特徴は「良くも悪くも」影響を受けやすく、悪い環境では「不安」になったり「うつ」ぽくなったりしますが、逆に良い環境のもとでは「生きやすくなりやすい」という傾向にある。
このように環境から影響を受けやすい感受性が一人一人違います。心理学ではこの違いのことを「感覚処理感受性」と呼びます。
HSPは、この感受性が特に強い人たちを表しています。
HSPは病気ではない
前述したようにHSPは、病気ではありません。
感受性の高さとそれによって生じる心身の不調は、別の概念として区別されています。
感覚処理感受性を提唱しているアーロン博士は、HSPはDOSE(ダズ)という4つの特徴付けられていると説明されている。DOSEは、それぞれ4つの頭文字を合わせた造語です。
- Depth of Processing:物事を深く処理する(不慣れな状況に置かれると一度立ち止まって指さしを確認する)
- Overstimulated:刺激に圧倒されやすい
- Emotional Reactivity and High Empathy:共感的、感情的な反応が高まりやすい
- Sensitivity to Subtleties:些細な刺激にも気が付きやすい(刺激に対する閾値が低い)
引用:LITALICO
いかがでしたか、臨床心理学の博士号を持ち、心理療法の現場でも活躍しているアーロン博士自身HSPでもある彼女は、HSPであることはまったく普通のことだから安心してと話しています。
HSPの原因や対処法など専門誌から詳しく取り入れ理解して、リラックスできる場所を見つけたり、雑音が入らない静かな落ち着くスペースでくつろいたり、ストレスをなるべく受けないように対処し精神的に健康になるように心がけましょう。
最後にアーロン博士はこのようなことも説明しています。
敏感さは決して欠点ではない。HSPの多くは創造的で、有能で、そして思いやりをもった思慮深いパートナーであり、知的で才能に恵まれた人たちである。
HSPは彼らにふさわしい関心の持たれ方をされれば、今よりもはるかにずっと、社会に貢献できるの人たちなのである。
参考:ぱんだの日常、LITALICO、ハイリー・センシティブ・パーソン