バード・ストライクの対策と悩み
バード・ストライクは深刻な悩み
空港と飛行機にとって迷惑千万な大敵がいる。
バードストライクです。鳥が飛行機などに衝突する事故のことで「鳥衝突」ともいう。
航空機のおけるバードストライクは離陸直後や着陸動作中の速度が比較的遅く高度が低い時に起きやすい。
現代の飛行機はジェットエンジンが主流で前方から空気を吸い込み、その空気を加圧して燃焼することで、高圧なガスを後方から噴き出す。
その前方の空気を吸い込むエアインテーク(空吸入口)に鳥が吸い込まれ事故が起きる。
特に近年のジェットエンジンは効率を上げるためにファンの直径を大きくしている傾向にありボーイング777ではファンの直径が3m以上もあります。
テクノロジーのかたまりの空港は高度な通信システムとレーダー観測により飛行中の航空機の位置を正確に把握している。
悪天候で視界がきかない時は着陸する飛行機に対して精密な3次元情報を送り、着陸までナビゲートする。
航空機も超ハイテクのかたまりです。
飛行機の本体は宇宙ロケットでも用いられるような軽くて丈夫な炭素繊維が用いられ、さまざまな電子機器が搭載されて、操作も自動化されている。
バードストライクは日本だけでも年間1,500件もの報告がされている。
結構多いですね、それだけに特別な事故ではなく、2018年にバードストライクに遭遇した飛行機に損傷が発生する確率は、日本では約2%の39件でした。
民間用の旅客機についてはバード・ストライク事故を防ぐためジェットエンジン開発時に鳥を吸い込ませるテスト行っている。
エンジンの設計は1.8kgのニワトリを吸い込んでも飛行を続けられるようになってる。
「ハドソン川の奇跡」で映画化された飛行機事故
2009年にUSエアウエイズ1549便が、渡り鳥のカナダガンを吸い込んで旅客機のすべてのエンジンが停止してしまった。
しかし、ニューヨークの市街地に墜落することなく市内を流れるハドソン川に不時着し大惨事を免れた。
広大な土地が必要な空港は、山林を切り開いたり、海を埋め立てた土地に作ったりしています。
開発した周辺にはさまざまな鳥が生息し、海鳥なども群れをなして飛んでいます。
対策と開発
現在、いろいろな対策が検討され実施もしています。
定期的に銃声や火薬の音で追い払う原始的な方法。
バードパトロール(定期巡回方式)専従要員を常駐させ、銃声や鳥類駆逐用煙火、ディストレスコール等を実施している。
最近では鳥を24時間観測するレーダーや渡り鳥の飛行するルートを捕捉するなどの開発や試みも行われている。
海外ではドローンを使って鳥の群れを誘導する開発がすすめられている。
渡り鳥は世界各国に飛び回っている、その予知は難しいし、何も知らずに大群で空港に近づいてくるため非常に危険であることは間違いない。
現在、世界では300万機を超える航空機がある。
今、この時点でも世界の空には旅客機だけで10万便が運航しているという。
大空港では1分以内の間隔で飛行機が離着陸している。
そんな飛行機の合間を縫って鳥たちが飛び立つことは至難の業と言えるのではないでしょうか。
バードストライクは飛行機にとっても鳥たちにとっても、恐ろしいことです。鳥は一瞬にして命を落としてしまうのですから。
なんとか早く共生できるように研究開発してもらいたいものです。
参考:TC、交通安全白書、乗物ニュース、Wikipedia、生き物の死にざま(稲垣栄洋著)