イワシとシラス物語
イワシとシラス
全長30㎝、体側に7つ前後の黒点があるマイワシ沿岸から沖合の表層を回遊する。
稚魚はシラス、たたみいわしに、幼魚以上は干物塩焼き、つみれ、酢の物、フライなどさまざまな
形で食卓を飾ってくれる。
春に北上し(上り)、秋から冬にかけて南下(下る)するが、下りイワシの方が脂がのって旨い。
昔から庶民に親しまれきた魚で、世界各地で多量に漁獲されるが、どこの海でも数十年から百年余
の周期で大発生と衰退を繰り返すことでも有名です
イワシは回遊魚
日本でいうイワシは、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの3種を指します。
日本での水揚げ高ランキング1位は千葉県・銚子港
イワシは回遊魚です。
回遊魚と言えば、マグロやカツオが有名ですね、泳ぎ続けていないと呼吸ができなくなるので、ずっと
泳ぎ続けているのです。
イワシが泳ぎ続けているのは、主食のプランクトンを効率よく食べるためだといわれ、沖合のプランク
トンの豊富な海域を回遊しています。
その回遊魚のイワシの群れは常に同じ方向に泳いでいます。
七割が右回り
その方向がどうして決まるのかは解明されていませんが、どうやらイワシは人間の右利き、左利きのよ
うに泳ぐ方向が決まっているのです。
約7割のイワシが右回りに泳ぎ、その方向は群れによって決まっていて、1度方向が決まれば死ぬまで
変わらないんだそうです。
実験で、右回りのイワシと左回りのイワシを混ぜてもハッキリと別れて、それはそれぞれの群れのイワ
シが全滅するまで変わらないという結果が出ている
ほんとかどうか、右回りに泳ぐイワシを焼くと右に反り返り、左回りに泳ぐイワシを焼くと左に反り返
るそうなので一度お試しください。
背青魚の代表格
背青魚の代表のイワシは、良質のたんぱく質が豊富で、酸化されにくく、動脈硬化を予防する脂肪酸、
酸化されやすいが、高脂血症などを改善する脂肪酸などを豊富に含んでいる。
また、悪玉のLDLコレステロール減らし動脈硬化を防ぐIPAと血圧の上昇を防ぎ脳細胞の働きを活発に
するDHA(ドコサヘキサエン酸)も肝機能を活発にし中性脂肪を低下させるEPA(エイコサペンタ塩酸)もたっぷりと入っています。
この他にも、成長期の子供や高齢者などの欠かせないカルシウムと、そのカルシウムの吸収を助けるビ
タミンDも含まれています。
このような栄養価が最近はみなおされ、再注目され人気が集まってきています。
イワシの寿命はよくわかっていないが、二年~三年五年~六年であるとされている、
江戸時代には、灯りにろうそくや油を使っていましたが、ろうそくや菜種などの植物油はとても高価で
庶民には手が出なかった。
そこで、使われていたのがイワシを煮込んで、絞り込んだイワシ油でした。
このイワシ油は猫の大好物でよくなめていたといわれています。
怪談に出てくる化け猫が行灯の油をなめている姿はそれが由来となっているとのことです。
イワシの群れは、冬から春にかけて西日本の太平洋岸で産卵し、その卵が黒潮に乗って北上しながら稚
魚に成長してシラスとなる。
シラスの群れはさらに北上して夏ごろに東北の太平洋岸で成魚となりまた南下してきます。
小さな魚ではあるけど、日本列島を縦断するように大回遊するのです。
球体やトルーネード泳法
イワシは天敵が多いので「群れ」ます。
集まって群れてもみんなで戦えるわけではないし逆に狙われやすいような気もします。
天敵の攻撃を防ぐとはできないが、群れていると自分が食べられる確立が低くなります。
群れからはぐれずに群れの内側にいれば、大型魚も外側から食べ始めるだろうし、食べ尽くすこと
はできないので全滅することはない。
また、大勢で寄り添うように動き回っていれば、的が絞りにくくなり一匹一匹が襲われにくくなる
のです。
まるで、一つの球のようになって泳ぐので「イワシ球」と呼ばれてます。
さらに、天敵に襲われれば、イワシの群れは、まるで巨大な生き物のようにうねりながら敵の攻撃
をかわしていきます。
これが水族館などでもみられる「イワシのトルネード」です。
か弱い小魚たちも命からがら必死なのです。
参考:きになる話題、生き物の死にざま(稲垣栄洋著)、Wikipedia、