高倉健の座右の銘は大阿闍梨から
高倉健
高倉健と言えばだれもが知っている日本映画のスーパースターです。
映画の「網走番外地シリーズ」や「昭和残侠伝シリーズ」をよくみました。
最後に見た映画は「鉄道員(ぽっぽや)」でした、いまでも雪深い映画のシーンをよ
く覚えています。
確かこの映画で、最優秀主演男優賞を受賞しています。
その高倉健の座右の銘は「往く道は精進にして忍びて終わり悔いなし」です。
この言葉は、千日回峰行(7年間にわたっておこなう、壮絶な天台宗の荒行)を2度も萬行した酒井雄哉大阿闍梨からこのことばを教わったそうです。
そうなんです仏教の言葉なんです。
大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)というお経の歎佛偈(たんぶつげ)の中にでています
阿弥陀仏が法蔵という菩薩の時に、師匠の世自在王仏に、懇願しました
「すべての苦しむ人を助けたい」と・・・
すると師匠は、それは大変難しいことなのでやめなさい。と言いました。
それでも法蔵菩薩は強い意志で訴えました。
すると師匠はこんな例を出しました
「大海の底に沈む宝物を貝がらで海の水を汲みだし、体をぬらさずに持ち帰る事ができるか?」
と投げかけ、それほどまでに難しいことなのだとさとしました。
法蔵菩薩は「だから助けたいのです」「助けさせてください」とさらに懇願を
つづけました。
さすがに師匠も承諾をしました
法蔵菩薩は「五劫の思惟・ごこうのしゆい」で「どうしたらすべての人を助ける事ができるのか」考えに考え抜きました。
「五劫思惟」とは
五劫とは時の長さで一劫が五つということです
一劫とは「四十里立方(約160km)の大岩に天女が三年(百年という説もある)に一度舞い降りて羽衣で撫で、その岩が無くなるまでの長い時間」のことで、五劫はさらにその5倍ということになります。
引用:金戎光明寺
兆載永劫(極めて長い期間)の行をし、次のような言葉を説いた。
「仮令身止 諸苦毒中我行精進 忍終不悔」
たとい身をもろもろの苦毒の中に終わるとも我が行は精進にして忍びてつい悔いで(たとえこの身が苦汁をなめつくしても精進・忍耐をしてやり遂げよう)
という法蔵菩薩の誓いの言葉です。
のちに法蔵菩薩は長い長い修行をえて阿弥陀如来となるのです。
この「我行精進 忍終不悔」が高倉健の座右の銘の源です。
高倉健はエピソードも非常に多く、特に慕う人が多いようにいわれています。
たとえば漫才のナインティナインの岡村隆司は、体調を崩したときのことは忘れられないと言ってます。
高倉健さんが励ましの手紙を送り、岡村さんはその手紙によって救われたそうです
復帰を果たした岡村さんに対して、番組の中で次のようなメッセージを送っていました
「仕事をやめたらやめたで終わりだからな。
やめたらダメだ。何があってもやらないと。
何があってもやる。続ける。命あるかぎり。
やめたらダメだ。続いているやつが勝ちなんだ」
この言葉からもプロフェッショナルとしての覚悟を持った高倉健だとわかりますね。
今回は大好きな俳優、高倉健の座右の銘を通して2600年前の仏陀の考え方を学ばさ
せていただきました。
参考:DIAMOND,仏教辞典、千日回峰行、Wikipedia、