国宝の「夢違い観音」にお願いしてみるといい夢に取り換えてくれる
夢違い観音(ゆめたがいかんのん)国宝です。
江戸時代に書かれた「古今一陽集」に「悪い夢を見たときに、この観音様にお願いをするといい夢に取り替えてくれる」とあることに記され、一般に親しまれている。
大昔の人たちにとって「夢」は真実性をがあり毎日の生活にかかわっていたようです。
昨夜見た夢が、良い夢だったのか悪い夢であったのかが、これからの人生に大きな暗示となっていた。
人に言われれば、それは気になる。
今朝の夢見が悪かったからそうなるのかとつい考えてしまう。
昔の人にとって、夢ほど正確な判断を与えるものはなかったようです。
そのように庶民感情を抱き、だからこそ苦しい時の神頼みとでもありました。
心配ごとがあれば、神仏に頼ろうとします。
それは、現代も変わりません。
夢の種類
夢にはよい夢があれば、悪い夢もあり
- 前兆(何かが起こる前触れのこと)
- 吉兆(よいことが起きる前触れのこと)
- 象徴(抽象的概念をより具体的に物事や形に表現する事)
を示すものと種類も豊富です。
それだけでなく、高僧の夢告(ムコク)は、宗教体験の極致を示すものとして、良く知られている。
夢告とは
神仏が夢において、何らかの意思を示し告げること
夢を見ることによって、今までの心のためらいも決定し、信心する事が眼前にあらわになり一瞬の開悟(カイゴ)に繋がる。
開悟とは
迷いを転じて、悟りを開くこと。
法然上人の回心(えしん)が決定したのも、善導大師との夢のお告げがあったとされる。
これも達人と呼ばれる高僧だから成し得たことでしょう。
僕は、最近は夢を見ませんが、見ていても起きると忘れているのかもしれません。
昔の一般の民衆は、今も言えることかもしれませんが見た夢に一喜一憂していた。
だからこそ、みた夢が凶と出たら、何とかしようとなんとか変えてもらおうと努力をしました。
夢違え
悪夢だったら、まじないをして災いから難を逃れようと素朴な祈りをした。
それを「夢違え」と呼んできた。
「夢違い観音」と呼ばれる聖観音は
- 切れ長の眼
- まろやかな体をつつむ衣
- 小柄でやさしさと慈悲をたたえている
法隆寺 観音菩薩立像 国宝
像立年 不明(推定645年から710年 飛鳥時代)
像高 86.9センチメートル
材質 銅(蝋型鋳造法)
作者 不明
1mにもみたないこの仏像のほほえみに無限の慈しみや奥深い真理を感じ、生きる喜びと希望に満ちた生活が生きぶいている。
それだけに、悪夢を託して、これからの希望をつかみたかったのでしょう。
法隆寺にあるたくさんの仏像の中の小さな逸品です。
昔も今も、悩めるものが多いだけに。、この仏像のありがたさ、尊さが思われます。
参考:夢違い観音、仏像入門(石上善應著)