日本生まれの縁起のいい末広がりの「扇子」
扇子とうちわの今昔
日本には欠かすことのできない扇子とうちわの文化があります。
今回は扇子編です
日本の扇子の歴史
扇子はいまから約1200年前の平安時代にできたと言われてます。
「扇」という漢字が本来 ”扉” のことを意味しそこから転じてうちわ(団扇)のことをいうようになった。
うちわは、古代エジプトの壁画にも、王様の脇に大きな羽根うちわを掲げた図があったり日本では利田遺跡(佐賀県)でうちわの絵が出土した例がある。
うちわにおいては、文明の発症時から存在するが木の薄皮を重ねたり、紙を折りたたんで作る扇は日本で発明されたものです。
最初に作られた扇子は、長さ30㎝の長さに2~3㎝幅の薄い檜の板を重ねて作る檜扇と呼ばれるもので、奈良時代に発掘された。
日本扇子の原型
今と違って扇ぐことが役割ではなく、メモ帳としてしたためたり、和歌を書いたり儀礼や贈答、コミュ
ニケーションの道具として用いられた。
その後、平安時代の中頃までに、木や竹の骨組みに紙を貼った蝙蝠扇(かわほりあふぎ)が夏の扇としてあらわれました。
この、蝙蝠扇(かわほりあふぎ)は扇を広げると蝙蝠(こうもり)の形に似ている。そして、これが現在一般の扇子の原型とされている。
「源氏物語」や歴史書にも、扇子に和歌を書いて贈ったり、花をのせて贈ったりしたことが記されている。
時代と共に公家や貴族、神職の階級の人から、江戸時代には一般庶民の間にも広く普及した。
日本国内で発展した扇子は、鎌倉時代に中国に輸出されシルクロードを渡りインドを経由し、遠くヨーロッパまで伝わったと言われてます。
ルイ王朝社交界で扇子はアレンジされ、象牙やべっ甲を骨とし、絹やレースを貼った洋扇子となり、やがて、日本に逆輸入され、これから、絹や綿布を使用した和風の絹扇子が生み出された。
国の伝統工芸品に指定
京都で作られる京扇子。
平安時代から作られている京扇子。
現在では、国内の扇子のシェアは90%以上を占めています。
扇子の種類
- 冬の扇・・主に儀礼用
- 夏の扇・・涼を取ったり装飾が目的
- 軍扇・・・その昔武将が戦場に携えた扇
- 茶扇・・・茶道用
- 舞扇・・・舞踊用
- 能扇・・・能や狂言用
- 香扇・・・香道用
- 豆扇・・・人形や置物などの装飾用
- 祝儀扇・・冠婚葬祭時の礼装用の小物として
- 有職扇・・儀礼用 主に宮中や神社仏閣で用いる
- 白檀扇・・涼を取ったり装飾が目的 白檀の香り
- 檜扇・・・儀式や装飾
- 鉄扇・・・親骨を鉄で作った護身用
出典参考:四季の美
現代でも活躍する扇子
落語では、あらゆるものに変化します。箸、筆、タバコ、徳利、杯、しゃもじ、刀、釣り竿最近は、携帯電話にも大変身します。
そうそう、戸をたたく「トントン」という効果音。噺家の隠語で扇子は風と言われています
礼儀扇 笑う時に歯をみえないように口を隠すフラメンコでは小道具としてアバニコと呼ばれる扇子を用いる
古くからの遊びで、扇子を投げて的を落とす「投扇興」がある張扇 講談師が、調子取りと音を出すために、釈台を叩く。
応援団が、扇子を持ち「必勝」などと調子を取る
まだまだ、活躍の場が多い扇子。
なんといっても「末広がり」で縁起が良く日本の伝統文化のひとつでもあります。
この夏は、絵柄を選んで颯爽(さっそう)とお過ごしください。
参考:四季の美、Wikipedia、日本文化いろは辞典、Weblio、