老化しないのか不思議な生物
不思議な生物「ハダカデバネズミ」
「ハダカデバネズミ」という奇妙な名前
の「すごいネズミ」のようです。
アフリカ大陸東部、サバンナの地下に
トンネルを作って生活している。
「ハダカデバネズミ」のハダカは裸で
デバは出っ歯という意味で、そのまま
ハダカで出っ歯なネズミのことです。
可愛げのない名前ですが、姿を見れば
納得で、そのまた生態が驚異的です。
ハダカデバネズミの特徴
- 体には毛がなく赤裸
- 体長は10.3 – 13.6㎝
- 体重は9 – 69g
- 口を閉じても歯が出ている
- 属名Heterocephalusは「変わった頭部、変な頭部」の意味
- 体温を調節する機能がなく体温も低い
- 大規模な群れ(コロニー)を形成し生活する
- 目はほぼ見えない
という。
ハダカデバネズミは地下にトンネルを
掘り、植物の根などをエサにして生活
している。
地下の中は温度が安定しているため、
保温のための体毛は退化し、また、
口唇が襞状で門歯の後ろで閉じるよう
になって、口を閉じたままトンネルを
掘れるように歯が出た構造に進化した
と考えられている。
ハダカデバネズミが発見されたのは、
20世紀も後半になってからのことで、
東アフリカの乾燥地帯の地下で生活を
していたハダカデバネズミは、これま
で人々の目に触れることがなかった。
まだ生態の謎が多いが、研究が進むに
つれて、この生物は極めて奇妙な哺乳
類であることが判明してきた。
哺乳類であるにもかかわらず地中生活
をするハダカデバネズミは昆虫のアリ
に生態が似ているのです。
アリの生態は、卵を産む女王アリと巣
の世話をする働きアリ、巣を守る兵隊
アリなどに役割分担がある。
ハダカデバネズミもアリと同じように
地中にコロニーを作り、子供を産むた
った一匹の繁殖メスの女王と、少数の
繁殖オスの他には、オスもメスも生殖
器官が未発達で、子孫を残すことがで
きない。
この非繁殖個体のうち小型の個体は、
穴掘りや食料の調達をするワーカーと
大型の個体は巣の防衛を行うソルジャ
ーとに役割分担されている。
何とも奇妙な哺乳類ですね。
同じ地中の中で生活していて、仕事の
分担は有りとしても繁殖機能に差がつ
くとはビックリです。
このような、繁殖行為をする個体とし
ない個体が役割分担する性質は、
「真社会性」と呼ばれ、昆虫のアリや
ハチ、ミツバチなどに見られる。
しかし、哺乳類に進化している仲間で
は、極めて珍しい。
他の特徴としてアリや白アリのように
明確に階級が分かれているわけではな
く、どのメスも女王になり、どのオス
も王になる資格がある。
ワーカーと呼ばれる個体も、生まれな
がらのワーカーではなく、女王の糞を
食べることで初めて母性を獲得し女王
の産んだ子供を育てるようになると言
われている。
さらに、不思議で驚くことは老化現象
がみられないのです。
マウスやモルモットなどの一般的なネ
ズミの寿命が数年であるのに対して、
ハダカデバネズミの寿命は約30年にも
なる。
ネズミの仲間の寿命は長くても数年程
度なので、30年とは不老長寿と呼べる
のです。
すべての哺乳類が老化していく中で、
老化しないというのは本当に不思議で
す。
さらにハダカデバネズミにはがん細胞
が見つからない.
ハダカデバネズミはがん抑制遺伝子の
産物であるp53タンパク質の濃度が
マウスと比較して50倍も高く、血管等
修復能力も高く、培養細胞の分裂速度
が遅く、強い接触阻害を持っているの
です。
2017年4月21日付のアメリカの科学誌
『サイエンス』に発表された研究結果
によると、ハダカデバネズミは酸素が
ない環境で18分も耐え、大きなダメー
ジも残らなかったという。
この脅威的な生き物を研究し医療に結
び付けようと研究が進んでいます。
老いることは、体が弱ったり、病気に
かかりやすくなったりして、死亡率が
あがるわけです。
ところが、ハダカデバネズミは年齢に
かかわらず死亡率が一定しているので
す。
老化がなく、老衰で死ぬことのない、
ハダカデバネズミの最期は、病気や
ケガなどです。
ただ、歳をとるほど体が弱って事故に
あいやすくなったり、病気にかかりや
すいとかいうことはまったくないよう
です。
若くても歳をとっても、一定の割合で
同じように病気なったり、事故にあっ
て死んだりするのです。
これが、ハダカデバネズミが不老長寿
といわれる由縁なのです。
参考:Wikipedia、Businessinsaider、生き物の死にざま(稲垣栄洋著)