映画と人の心理の「クレショフ効果」とは
邦画であれ、洋画であれ、映画が好きな人は多いですね
「クレショフ効果」とは
その映画の、前後の脈絡がない映像や写真の羅列に対し、前後のつながりを無意識に関連づけ、勝手に意味を解釈してしまう心理効果のことです。
引用:Theory
現代では映画館だけでなく、ネット配信サービスがあり自宅映画鑑賞できるし、もちろん好きな映画は録画もでき、好きな時に見ることができますね。
一時は、DVDレンタルが流行り、何枚も借りて来ては映画鑑賞もしました 。
その映画を観ることで嬉しくなったり哀しくなったり、面白かったりします。
これは映画が見ている人に心理的影響を与えて、感情を揺さぶるからです。
このように、映画を観ることで恐怖を感じたり、笑ったりすることは映画と心理学には関連があるということが 100年前から分かっていたのです。
それはいったいどのようなことかと調べてみると、なんと認知バイアスのひとつでした。
クレショフ効果(Kuleshov Effect)提唱者は、ソビエト連邦の映画監督のレフ・クレショフで、「本来は関係ない無意味な画像や写真でも、映画のように編集されると、その前後にある映像との間に意味を見つけてしまう」と考え実験し、数々の映画作成に応用していきました。
実験
猫とご飯の写真があります。
- 猫がご飯を食べたそうにしている
- 猫が「この缶詰が食べたい」「このご飯を買ってほしい」と訴えている
このようにこの2枚の写真を見るだけで、ストーリーに結びつけてしまうのです。
猫を飼っている人ならば、この猫の写真に自分の飼い猫を重ね合わせてしまうことになります。
そのために、自分の飼い猫があたかも「食べたい」「飼ってくれ」と訴えかけているように感じます。
このような実際に食べている写真だと、そこまで思いませんね。
この画像だと「猫が美味しそうに食べている」と思いますが、猫の目線は餌に向けられていて消費者に訴えかける力は無くなってしまうのです。
そのため、ほとんどの猫の餌のパッケージには、猫は正面を向いている画像ばかりです、これはクレショフ効果を意識して作成し消費者に訴求力を高めているためなのです。
TVコマーシャル
テレビのコマーシャルには、クレショフ効果がたくさん盛り込まれています。
ビールや酒類のテレビコマーシャル
アルコールの宣伝には、未成年者への飲酒防止や健康への影響を考慮して自主基準があり、広告には厳しい規制がかけられています。
- 飲んでいるシーンで「ゴクゴク」などの喉元を通る効果音は使用しない
- それにつれて、喉元のアップの画像はしない
- スポーツ時や入浴時の飲酒を誘発するような表現はやめる
このような制限がある中で「泡」や「情景」などを活用してビールを飲んだ後の爽快感や美味しさ、満足感を出すように各社が趣向をこらしているのです。
洗濯洗剤のテレビコマーシャル
洗濯機用の洗剤や柔軟剤のコマーシャルは、澄んだ青空の下で風に少しヒラヒラさせながら干している画像が多いですね。
干しているものも、ほとんど白いTシャツやタオル、男物の半袖下着が多いです。
それを見るとコマーシャルに出てくる洗剤を使うことで、青空の下にさわやかに乾いていく印象が残るわけです。
そんなわけですから、マーケティングやブランディングなどに利用されています。
例えば、高級感を出したいならば、高級レストランの画像を使ったり、フランスのブランドを強調したければパリの街並みやエッフェル塔を映すことで強調でき、消費者に想いを伝える事ができるのです。
電車の中やテレビの広告を見たときに、クレショフ効果をどこで使っているかを探すのも面白いかもしれませんね。