達磨大師の言葉「一華開五葉」とは
「いちげごようをひらく」と読みます。
「一華開五葉」とは
達磨大師が弟子に伝えた言葉。一輪の花が五弁の花びらを開くように、迷いや煩悩から解かれ清浄無垢な心に立ちかえれば、五つの智慧により、やがて自然に仏果菩提の実を結ぶ。引用:婦人画報
とても、美しい言葉です。
禅の言葉として、好まれています。
そして、この言葉のあとに「結果 自然成・けっかじねんになる」という言葉が続きます。
一輪の花が5枚の花びらをつけて開き、やがて実を結ぶということになります。
なんの気負いのない自然のままの姿を表しています。
素直な気持ちで正しく生きることで、才能を発揮するために必要な五つの「智慧」にたとえています。
5つの花びら
5つの花びらは、五つの心のことです。
- 「円満」純粋で清らかな相手の心をありのまま受け取れる円満な智慧。
- 「平等」差別の意識を捨て、平等に拝める智慧。
- 「正確」差別ではなく、平等の中での区別が細やかに確かに観察できる智慧。
- 「尽力」他の人々のために行動できる智慧。
- 「素直」この世界は皆、仏の心の現れだと受け取れる素直な智慧。
この五つの心を持っていれば、あとは平常心で結果を待つことになります。
一流のスポーツ選手は、どれだけ能力を持っていても基本を大切にして真面目に自分で決めたことをコツコツと練習を積み重ねる姿勢がないと一流にはなれないと言われます。
米国のミシガン大学の研究チームによると、心配事や危惧の80%は実際に起こらず、単なる取り越し苦労に過ぎないことが明らかにされてます。
ダルマ・達磨
ところで、達磨というと、縁日などで売っている縁起物のダルマを思い浮かべますね。
ダルマは倒してもすぐに起き上がり、決して倒れたままでいることはありません。
七転び八起きのダルマのことから、ダルマを置いておけば挫折することがないと、商売繁盛、開運出世の縁起物として人気があります。
そんな性格が日本人と似ていてか、親しみがあり、今でも絶大な人気を保っています。
そのダルマは、中国禅宗の開祖と言われる菩提達磨の坐像をモデルにしたものです。
菩提達磨は、南インドの禅僧で、6世紀のはじめに中国に入り各地で禅を教えたといわれる。
その生涯は謎に包まれていますが、伝説によると達磨は、少林寺で壁に向かって九年間坐禅(面壁九年)していたとされる。
清浄心
何事にも捕らわれない心を「清浄心・しょうじょうしん」といいます。
この清浄心をもって、あるがままに自由にものを見て、聞いて、味わって、触って全ての経験をしておいで、だけど、それに心を奪われてはいけないよ。
心を一箇所に停めてはいけませんよという意味です。
執着心があらゆる迷いの原因と説き、何ごとにも捕らわれない心というのは、スッキリと生きていくのにとても大切なことだといいます。
執着心が芽生えると、とたんに悩みが生じてしまうからです。
道元禅師の和歌
道元禅師はこんな和歌を詠んでます
「水鳥の行くも帰るも跡絶えて されども道は忘れざれけり」
飛ぶ鳥の空には道はなく、飛んだ後には痕跡すら残らず、それでも鳥は飛ぶ方向と羽ばたかせ方を十分に知っている。
どれだけ飛ぼうとも偉ぶらず何度目かだなんて覚えもしない。引用:曹洞宗 広徳寺
余計なことにとらわれずに、ただ正しい道を進んでゆく。
参考:ほっとする禅語(渡會正純・石飛博光・杉谷みどり著)、婦人画報