孤独・孤立対策の内閣官房重点計画
孤独・孤立の実態
テレビのニュースなどで、一人住まいの高齢者が誰にも看取られずに、寂しく他界される報道を聞くと胸が締めつけられるようですね。
いわゆる「孤独死」という言葉には、寂しいというニュアンスがあり、特に田舎のコミュニティでは、人口の減少が続き、孤立した生活者が増えているようです。
しかし、この現象は田舎だけではなく、大都会の東京や大阪でも社会的に孤独を感じている人は少なくない。
日本では、内閣官房が「孤独・孤立対策の重点計画」を発表しています。
孤独・孤立の定義
- 「孤独」は主観的概念、ひとりぼっちと感じる精神的な状態
- 「孤立」は客間的概念、社会とのつながりのない、少ない状態
と定義し、当事者や家族等の状況は多様化していて、それぞれの感じ方・捉え方は人によってまちまちだとする。
孤独・孤立は人生の場面で誰にでも起こりうるものとして、社会全体で対応するべき問題としている。
それゆえに、一定の定義のものとで取り組むのではなく、孤独・孤立の双方を一体で捉えて、「望まない孤独」と「孤立」を対象として取り組む姿勢を示している。
孤独・孤立に直面する以前に「予防」という観点を重要視して、誰もが存在感・有用感を実感できるような社会、人と人との「つながり」が生まれる社会を目指して施策をのあり方を検討している。
とはいえ、とても多岐に渡るので難しい、問題ですね。
さらに支援体制は
- 孤独・孤立になっても、声をかけられるような社会を目指す。
- 切れ目のない相談支援体制を整備。
- 見守り・交流の場や居場所づくりを推進し「つながり」の地域づくりを行う。
- 官・民・NPO等の連携を強化する
実際は地域ごとの対応が必須となってくると思います。
各地域ごとに取り組んでほしいですね。
重点計画の中には、孤独・孤立の問題解消にとどまらずウエルビーイングの向上にも値するとある。
ウエルビーイング(well-being)とは、
身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する。「幸福」と訳されることも多い。
コロナ禍での生活
令和2年1月に新型コロナウィルス感染者が確認されてからは緊急事態宣言が発出され、外出自粛要請が行われて、ますます、高齢者等の交流・見守りなどの支え合い場などの支援が失われた。
人々の社会生活を一変化した新型コロナウィルス感染の拡大は、孤独・孤立の問題がより一層深刻化してしまった
- 悲しいことに、自殺者も令和2年に総数で前年比 912人 も増えています。
- DV 相談件数は、令和2年度で約19万件で前年比、約7万件増です。
- 児童虐待相談対応件数は、20万5,044件で(前年比比1万 1,264 件増)となっている。
- 小・中学校における長期欠席者のうち不登校児童生徒は令和2年度で 19 万 6,127 人(前年度比 14,855 人増)です。たこと等の要因の一つとも考えられる。
引用:内閣官房
「一人暮らし」のと報道されることが多くなったような気がしますが、これは日本だけでなく外国でも広がりを見せています。
海外では
米国アリゾナ大学のミラー・マクファーソンは、「アメリカにおける社会的な孤立」という論文を発表している。
米国では大規模な調査のジェネラル・ソシアル・サーベイ(GSS)が行われ、そのデータを使って約20年間でどれくらいの孤立した人が増えているのかを分析している。
- 「あなたは、大切なことを話す人が何人くらいいますか?」
答えは
1985年:平均2.94人 2004年:平均2.08人 - 「大切なことは誰にも話さない」
答えは
1985年:10.0% 2004年:24.6% - 「一人にだけ話す」
答えは
1985年:15.0% 2004年:19.0%
と、1985年に比べ2004年の孤立化が目立ってきました。
社交的で、パーティーが好きなアメリカ人のイメージが強いですが、20年間で大きく変化しています。
日本の取り組み
孤立しているのは日本だけでないことがはっきりしています。
「自分が一人で好き勝手に生きて孤立している」と思っている人が多く心配をしてしまいますね。
日本では令和3年2月に孤独・孤立対策担当大臣を指名して同大臣が司令塔となり、内閣官房に孤独・孤立対策担当
室を立ち上げ、政府一丸となって孤独・孤立対策に取り組むこととしています。
参考:内閣官房、もっとすごい心理学(内藤誼人著)