しっかり目を開けて夢を見よう

世界中で提案されている不便益のデザインとは

次々と開発される機器や物は早くできる、手抜きできる、自分の思い通りになるなど便利が追及され感心するほどの近代社会となってます。

私たちも、便利で使いやすい製品を称賛し、産業が発展し経済成長を後押ししていることも事実です。

先日、聞き慣れない「不便益」という言葉を目にしました。初めて見る言葉でなんだろうと調べてみると「不便益システム研究所」というホームページに突き当たりました。

「不便益システム研究所」の代表は京都大学で京都先端科学大学教授の川上浩司(かわかみひろし)氏でした。

いい加減でないことがわかり、「不便益」なるものを探求しました。

不便益」とは、不便でよかったこと。(不便だから益があること)

NHKでも取り上げてました。

身の回りのほとんどのモノは「手間がかからず頭を使わなくてもよい」という「便利」さを追求してデザインされています。ところが今「便利」とは全く逆の発想で社会やモノをデザインしようという試みが注目されています。提唱者は京都先端科学大学の川上浩司教授。不便だから得られる利益を「不便益」と名付け、便利すぎる世の中に疑問を投げかけています。常識に楔(くさび)を打つ発想を通して、デザインの新たな可能性を考えます。

引用:NHK

京都の西芳寺(さいほうじ)は苔寺で有名ですね。その苔寺のお参りは「往復はがき」での申し込みが必要です。

京都西芳寺・苔寺

なぜ今どき往復はがきなのだろう、インターネット使えば早く届くし人数の確認や予約の拝観日のチェックなども手間なくできるのに、またオンラインサイトも開設しているのにです。

それなのに苔寺さんが往復ハガキにこだわるのは,「参拝する人に不便益があるから」とのことで、わざわ往復はがきを買って、手間をかけて申し込んだ後に、苔寺からの返事が届いた時の気持ちは、ウエブページのボタンをクリックしてからの「申し込みを受け付けしました」の表示された気持ちとは、全く違うものといいます。

 

不便益デザインのお手本

「不便益デザインのお手本」として下記のようなことが掲載されてます。
便利の押しつけが,人から生活する事や成長する事を奪ってはいけない。

デイサービスのバリアアリー

  • デイサービス施設は通常バリアフリーですが、施設内にバリアをあえて作り込んで身体能力を衰えさせないという考え方(バリアアリー)

千葉県浦安市にあるデイサービス施設「夢のみずうみ村」には、毎日70人ほどのお年寄りが通っています。
施設の中央には、なんと29段の階段があり、しかも手すりの代わりに、不安定なロープが張られています。

夢のみずうみ村

なぜロープなのかと尋ねると「手すりに依存しなくてはいけなくなると、手すりがついていないと行動できなくなる。 ロープだけで歩けるようになったら、どこでもちょっと何かに触れたら移動できるようになります」ということです。

また、段差や坂が至る所にあります。バリアを作ることで、自然に足腰を鍛えるのが狙いのようで、代表の藤原さんは、「必要なところに必要な手を出す。そうじゃないところはご自分でやっていただく。 人間は基本的に自分で自立する、自分でできることは幸せなんです」と話します。全国から視察に訪れる方が多く注目をされていています。

COGY(もう一度動ける可能性を)

  • 電動サポートや自動衝突回避などの便利機能をつけるのとは逆向きに,「自分の足で,漕げ」という車いす(Cogy)

歩行が困難な方でも、どちらかの足が少しでも動かせれば、自分の両足でペダルをこげる可能性があります。
通常、人が歩行するときは、脳からの信号が脊髄を介し足を動かしています。
しかし、足が不自由な方は、脳からの指令がうまく足に伝わりませんが、このCOGYにのりわずかな力でペダルが前に出る。
この動きが「原始的歩行中枢」を刺激し、もう片方の足が反射的に動くということです。
感覚神経の情報が、脳やせき髄の中枢神経回路網をうまく調整してくれる「ニューロモジュレーション」がおこります。

 

参考:不便益システム研究所NHKNHK生活情報ブログCOGY

 

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